9月21日は小説家「スティーブン・キングが生まれた日」である。
モダン・ホラー小説の大家として知られるスティーブン・キングは1947年の本日、アメリカメイン州ポートランドで生まれた。
ホラーというジャンルにもかかわらず、キングの作品はアメリカの平凡な街を舞台にする。そこで、日常の描写を多く取り入れ、その中に潜む恐怖を描く。こうした作風は「怪奇小説としてのホラー」ではなく「モダン・ホラー」と呼ばれ、キングはその第一人者とされる。
キングは大学卒業後、教師を目指すも、働き口が見つからず、クリーニング店でアルバイトしながら、学生結婚した妻と子供を養っていた。ようやく、教師としての就職先が見つかるも、激務で給料も安く、住んでいる借家の賃料も払えなかったという。
そこで、借家からトレーラーハウスに移り、小説をしたためながら、苦しい生活を続ける。キングが、少しでも小説に集中できるよう、妻はドーナツ店で働き、家計を支えたという。
キングは自身を扱ったドキュメンタリーで、トレーラーハウスでの生活を回顧している。いわく、風呂場が一番好きな場所だという。ヘビースモーカーのキングは、どこでもタバコを吸う。ユニットバスの風呂場は、シャワーを浴びながらでもトイレに灰を落とせるため、気に入っていたという。
ある日、トレーラーハウスの洗濯室で、超能力を持つ少女の物語を思いつく。書き始めてみるが、今一つ面白くなく、原稿をゴミ箱に捨ててしまった。
それを読んだ妻が、スティーブンにこう言ったという。「この作品には何かあるわ!」これが、後にベストセラーとなり映画化もされた、モダン・ホラー小説『キャリー』である。この作品でキングには、教師の年俸の4年分に相当する印税が入ってきたという。
その後も『シャイニング』や『ミザリー』などのホラー小説、『ショーシャンクの空に』、『グリーンマイル』といったSFファンタジー小説を出版し、多くがベストセラーになるのと同時に、映像化されている。
妻のファンタジーな助言で、トレーラーハウスから抜け出し、今は巨大な豪邸に住んでいる。その生涯もまた、「小説よりも奇なり」といえる。
敬称略