9月19日は漫画家「一条ゆかりの生まれた日」である。

「有閑倶楽部」「デザイナー」などで知られる一条ゆかりは1949年の本日、生まれた。

一条は、高校1年生で漫画家デビューを果たす。早熟の天才だった。その後、集英社の少女漫画雑誌「りぼん」が開催した「第一回りぼん新人漫画賞」準入選に選ばれ、同紙にて再デビューする。

一条は、少女漫画らしい華麗な画風とイラスト的な細い線によって、ドラマチックな展開を生み出し、人気を不動のものにする。こうした作風は多くの後輩に影響を与え、今では当たり前になっている。

数ある作品の中でも、壮絶なドラマが展開される「砂の城」は、今でもファンが多い。1977年~1981年までりぼんで連載し、TVドラマ化もされた。

浜辺で作った砂の城 (画像=pixabay)


フランスを舞台に、名家に生まれたナタリーと親に捨てられたフランシスの禁断の恋を描く。

この漫画、とにかく畳みかけるように不幸が続く。両親を飛行機事故で亡くしたり、叔母に恋路を反対され心中したりなど、小学生向けに描かれているとは思えない内容だ。

タイトルの「砂の城」とは、漫画のセリフからきている。

砂浜で、お城を作っているフランシス、いくら作っても波にさらわれてしまう。離れたところでは、砂が乾いており、城を作れない。

「安全なところでは作れなくて作れるところでは波がさらってしまう。まるで……人生を作っているみたい。」「人生なんて砂の城のようなのかもしれない。作ってもいつの間にか壊れてしまう。」

とナタリーがつぶやく。悲劇を繰り返しているナタリーだからこそ出る言葉だ。

人生は楽しいことばかりではない、そのことを教えてくれる漫画だ。作者の一条も、離婚を経験し、腱鞘炎や緑内障を患うなど、順風満帆ではない。誰の人生も砂の城の上にあるのかもしれない。

敬称略

 
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