9月8日は映画監督「ブラッド・シルバーリングが生まれた日」だ。
ファンタジー映画『キャスパー』で知られるブラッド・シルバーリングは1963年の本日、生まれた。
『キャスパー』はアメリカで大人気だったテレビアニメを実写化した作品だ。製作総指揮にスティーブン・スピルバーグを迎え、ブラッド・シルバーリングは本作で長編映画デビューを果たした。シルバーリングが撮った短編映画を見たスピルバーグが自らオファーを出したという。
キャスパー以降に撮られたシルバーリングの代表作として、2002年に製作された『ムーンライト・マイル』がある。アカデミー俳優ダスティン・ホフマンを脇に据え、当時、若手実力派俳優として頭角を現してきたジェイク・ギレンホールを主演に抜擢したものだ。
ストーリーは、結婚式を3日後に控えた花嫁が発砲事件に巻き込まれて亡くなってしまうことから始まる。
婚約者のジョー(ジェイク・ギレンホール)は花嫁の両親との交流によって、深い悲しみから抜け出そうとしていた。しかし、ジョーには隠している秘密があった。実は、二人で話し合って、婚約を解消していたのである。この秘密と悲しみにジョーはさいなまれていく。
この映画の舞台は、ケープ・アンという海沿いの静かな町だ。イギリスからの移住者によって築かれた町なので、ヨーロッパ風の建物が多い。小さな町の、小さな家族を襲った大きな悲しみを描いた良作にふさわしい。登場する家はどれもあまりに普通だが、部屋のあちこちに彼女との思い出が残っていることをうかがわせて、突然の悲劇によってもたらされた悲しみを際立たせる。
この映画は、家族との心の交流を描く、典型的なヒューマンドラマだが、他の作品と大きく違っているところがある。それは、監督であるシルバーリングの実体験を基にしていることだ。
1989年、当時交際していた女優のレベッカ・シェイファーが彼女の熱狂的なファンに殺されるという事件が起きた。シルバーリングは深い悲しみの中、彼女の家族との関わりによって、喪失からの再生を果たす。
レベッカ・シェイファーを殺害した犯人は、以前も歌手や女優など有名人のストーキングを繰り返していたという。この事件をきっかけにして、1990年、カリフォルニア州で、アメリカでは初めてストーカー防止法が制定されることになる。
敬称略