9月1日は「杭の日」である。
東日本基礎工業協同組合が工事の安全作業を推進する日として、「く(9)い(1)」の語呂合わせで、1993年に制定した。
くい打ちは、建物の基礎工事の中で最も大事な作業であり、建物の土台作りになる。
軟弱な地盤を補強するために、2m~4m以上の大きなコンクリートを地中に埋め込む。
日本は地震が多い国なので、このくい打ちが、とても重要な作業になる。
このくい打ちに不備があると、建物が傾いたり、最悪は倒壊したり、重大な問題になり得るからだ。
くい打ちの様子 (画像=写真AC)
2014年に、横浜市の分譲マンションで、くい打ちが本来達するべき地層に届いてなく、そのデータを偽装していたとして、工事に関わった3社が処分された。
このマンションは2cm以上傾いており、生活に支障をきたすレベルにまで達していた。
三井住友建設の下請け会社が、データ偽装を日常的に行っていたと報道された。
柔らかい地層だと、深くまで杭を埋め込まないといけないため、それだけコストが掛かってしまう。
この杭だが、日々進化している。
技術開発が進み、たくさんの工法が生み出されている。
通常、地盤に杭を打ち込んで、建物を支えるが、砂地盤にも杭を打ち込める新技術もある。
また、くい打ち機と呼ばれる巨大な建設機械を使い地面に穴をあけて打ち込むが、駅の高架下や橋の下など、狭く、低い場所でも安全に杭を打ち込める技術などが開発されている。
高度経済成長期には、騒音や振動が問題になっていたが、無音・無振動のくい打ち機も登場している。
日々、建物の安全のために、技術は進歩しているが、それを取り扱う人間が進歩しなければ、素晴らしい技術も宝の持ち腐れになってしまう。
建てて終わりではなく、そこに生活する人たちの未来を見据えてほしいものだ。