8月27日は「男はつらいよシリーズの1作目が公開された日」だ。
本作は、「ひとりの俳優が演じた最も長い映画シリーズ」として累計48作がギネス記録に認定されている。
1969年の本日、『男はつらいよ』シリーズの記念すべき第1作目が公開された。
「私、生まれも育ちも葛飾柴又です~」この口上は、誰しもが口ずさめる名ゼリフだ。
東京の下町育ちで生粋の江戸っ子・寅さんは、放浪の旅暮らしの風来坊だ。
旅するところで、女性に一目ぼれしては騒動を起こす、下町人情喜劇である。
寅さんの故郷の柴又にある寅次郎銅像 (画像=写真AC)
寅さんこと車寅次郎は、両親を亡くし、唯一の家族である腹違いの妹の、さくらを一番大事に思っている。
実家と言える場所は、寅さんのおじさん、通称おいちゃんが経営している団子屋「とらや」だ。
柴又には、実際に撮影でも使われモデルとなった団子屋・柴又屋がある。
この柴又屋は第4作まで撮影でも使われたが、その後はセットを作ったという。
この経緯は、モデルになっていた「柴又屋」が劇中と同名の「とらや」に屋号を変更してしまい制作サイドで一悶着あったからだという。
劇中では4作目以降「くるまや」と変えて撮影を行った。
「とらや」は風来坊の寅さんが久しぶりに帰ってきても、優しく迎えてくれる。
団子屋なので、入り口は開いたままだ。その外と内のあいまいさが、寅さんが帰ってきたときに、気後れしない要因なのではないだろうか。
昔の家、とりわけ下町はどこもそんなものだった。
作品では、一家団欒の様子は、あまり描かれていないが、その姿は映像のアチコチから感じ取れる。
相手の気持ちを汲み取る日本人らしい家庭が描かれている。
出演者全員がおせっかい焼きという、下町らしい人情が、とても懐かしい。
主演の渥美清は、病気になりながらも、陽気な寅さんを演じきった。
渥美清が亡くなった時は、各メディアでは寅さんが亡くなったと報道された。
それだけ国民に親しまれた寅さんは、天国でもおせっかいを焼いているのだろう。
敬称略