8月24日は「愛酒の日」だ。
300を超える酒にまつわる歌を残した歌人・若山牧水。その誕生日であり、牧水が無頼の酒好きとして知られることから、本日を「愛酒の日」という。
「白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒は静かに飲むべかりけり」
若山牧水が歌った有名な短歌だ。
秋の夜長、ひとり静かに酒を飲み、過去と未来を思い人生を考える。大勢で酒を飲むのも楽しいが、ひとりで飲む酒もまた格別である、という意味だ。
若山牧水像 (画像=フォトライブラリー)
若山牧水の酒にまつわる豪快な逸話は事欠かない。
1日に日本酒を一升以上飲み、死因は肝硬変だった。しかし、夏場にも関わらず、死体がしばらく腐らなかった。医師は「アルコール漬けになったのでは」と驚いたという。
今でこそ、家庭で飲むお酒はビールが定番になっているが、普及し始めたのは、戦後になってからである。
「もはや戦後ではない」という言葉が流行語になった1956年、日本は戦後の好景気に沸き、この頃から家庭でビールを飲むようになった。
日本酒はやはり冷やですね (画像=写真AC)
それまでは一般家庭で、専ら日本酒が飲まれていた。
明治時代初期に、政府が酒に関する規制を排除し、醸造技術と資本がある者は自由に酒造りが出来るようになり、わずか一年で大小合わせて3万以上の酒蔵が誕生することとなる。
昭和に入ると、酒屋の御用聞きが各家庭に定期的に訪問し、注文を受け、配達していった。
土間にケースを置くなど、勝手知ったる、という存在のものも多くいた。
酒屋と家庭の関係性が親密だったのだ。
今では、家庭の酒の座をビールに奪われた日本酒だが、海外に目を向けると各地で日本酒ブームが生まれている。
日本酒の輸出量は毎年増えていき、「SAKE」は海外で定番化している。
日本旅行のアクティビティのひとつとして、酒蔵見学や飲み比べなども増えているという。
牧水が歌ったように、日本酒の過去と未来を考えながら飲むと、これまた一興、格別だろう。
敬称略