8月1日は「東京が人口世界一になったと報道された日」である。
1957年の8月1日付の東京都総務局調査で、東京の人口が850万人を突破し、それまで1位、2位を占めていたニューヨークとロンドンを抜き、世界一になったという。
敗戦から立ち上がり、世界に冠たる都市になったのだ。
しかし、実際にはあまり喜ばしいものでは無かったという。
急激な人口増加によって、「ラッシュ時の電車の混雑は殺人的で、天気が続けば水道の出が悪くなる。住みにくい街になったものである」と当時の新聞が報じている。
戦後、経済復興の拠点として、東京に労働者が多く流入してきたことが、急速な人口増加の要因だ。
1945年の東京の人口が349万人だったのに対して、1950年には628万人になり、5年間で300万人弱も増加した。
労働者の増加に加えて、第一次ベビーブームも人口増に寄与している。
当時、日本全国で1年間の出生数が250万人を超えていたのだ。
2016年は98万人だった。比べると約3倍になる。
狭小住宅 (画像=GATAG)
人口が増えれば、そのために住宅も建てる必要がある。
公営住宅や新築住宅の建設が行われ、その数は毎年倍増していった。
それでも、人口増加に住宅供給が追い付いていなかったという。
家賃は高くなっていき「二室木賃」と呼ばれる、木造2階建てのアパートに3畳1間の生活ということもあった。
土地の少ない東京に密集して住宅を建てた影響だろう。
人口が増えて経済が変わっても、生活の根本となる住宅は変わらなかったのだ。
大量に建てることばかりを考え、住みやすさは二の次だった。
ただ、住めれば良いということではない。
今でも、東京の人口は増え続けている。問題は昔から変わらないままだ。