7月13日は「ニューヨークで大停電が起きた日」である。
スマホや電化製品、生活に関わるモノの多くが電力によって動いている。
近年ではIOTなどで鍵や時計なども電化していっている。
ひとたび、大規模な停電が起きると、都市は大混乱に陥ってしまうだろう。
そんな大停電を経験した都市がある。
1977年のニューヨークだ。
ニューヨーク市内 (画像=GATAG)
1977年7月の今日、午後9時34分ニューヨークが大規模な停電状態に陥った。
発電所への落雷が原因でニューヨークの5分の4へ、電力供給がストップしたのだ。
停電が夜になって発生したため、パニックも大きかった。結局、復旧に手間取り3日間も停電し続け、900万人に被害が及んだ。
実は、ニューヨークで停電が起きたのはこの時が初めてではなかった。
12年前の1965年にも起きており、最近では2003年にも同じような事態に陥っている。
しかし、1977年の停電は他とは大きく状況が違っていた。
1970年代のニューヨークは治安、景気ともに最悪の時代だったからである。
真夜中を襲った停電で、暗闇に紛れた窃盗や強盗、放火などが多発したという。
3700人以上が逮捕されたというから驚くばかり。ニューヨークの刑務所が満員になってしまい、封鎖していた刑務所を再稼働したほどだった。
発生したのが午後9時という事もあり、仕事でオフィスに残っている人も多く、交通網の麻痺により、帰宅できない人が続出した。オフィス近くのホテルは、満杯になりロビーには人があふれかえったという。
停電にもかかわらず、翌日も出社してオフィスで途方に暮れる人も多かった。仕事をしていないと落ち着かないワーカ・ホリック(仕事中毒)が認識される発端になったともいわれる。
この大停電に関して、都市伝説のように囁かれていることがある。
停電発生後から9ヵ月後に、ニューヨークではベビーブームが起きたといわれている。
出生率が大幅に上がっていることを医者が気づき、NYタイムズにも取り上げられた。
暗闇の恐怖が人々の結びつきを強めたためだとか、普段は仕事に遊びに忙しすぎるニューヨーカーが夫婦水いらずになったからだとか、語られている。
そういえば、ジュンパ・ラヒリの小説「停電の夜に」でも、大停電がきっかけで関係が変化する夫婦が描かれる。
停電は夫婦の絆を強くする。
美しく言えば、まあそうなのだろう。
ただ、実際には停電と出生率の関連については、根拠が一切なく、あくまで都市伝説でしかない。
日本でも電力インフラの老朽化が進んでいると言われている。人口減で財政も悪化しているため、大規模な改修はできないだろう。
NYCと同じような大停電が東京で起きないと断言できない。
いざという時のために、準備をしておくことが大事である。
ニューヨークの3度の経験から学ぶことは多いのではないだろうか。