7月12日は「ラジオ本放送が開始された日」だ。
ラジオ人気が再燃している。
スマートフォンやパソコンにより、どこにいても全国のラジオ放送を聞くことができるようになり、ローカルで支持されていた番組やパーソナリティに、全国から注目が集まっている。
ラジオ本放送は1925年の本日、港区愛宕山の東京放送局(現・NHK)で開始された。
当時の日本では無線研究が流行し、新聞社などによる放送の実験が盛んに行われていた。
ラジオ放送開始の世論が一気に高まったのは、関東大震災(1923年)が影響している。
地震発生時に新聞発行が停止してしまい、混乱が広まったからだ。災害時にも情報を素早く正確に伝える必要があった。
本放送開始からラジオの普及は進んでいったが、一般家庭にまで浸透するには、1928年に登場した真空管ラジオによるところが大きい。
真空管ラジオ (画像=写真AC)
しかし、この真空管ラジオは、スイッチを入れて、音が出るまで相当な時間を要し、本体も大きなものだった。
そのため、娯楽製品ではなく、家具の一つとして購入していた家庭が多かった。実際にラジオ工場には家具職人が常駐し、できあがった製品を木目の筐体に仕上げていた。
その後、持ち運びの出来るトランジスタラジオが登場し、急速に普及していった。
現在放送中の朝の連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK)の主人公はトランジスタラジオ工場で働いている。1955年には、全世帯の約83%まで普及していった。
娯楽の少なかった当時、ラジオは生活に必須のもので、貴重な家族団らんの時間だった。
野球や大相撲中継、紅白歌合戦など家族みんながラジオの前に集まり、聞こえる声、音楽に耳を傾けた。
しかし1953年に、テレビが登場すると、ラジオの存在感は薄らいでいく。
それでも近所の公園を歩けば、ラジオ体操が今でも行われている。
そして根強いラジオリスナーは多く、パーソナリティやDJがファンと密接な関係性を築けるメディアとして、他にはない価値を提供している。
家族の団らんからは遠のいたが、スマフォやパソコンの中で確かに存在感を増している。