6月22日は秋本治の手による漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所(こち亀)が週刊少年ジャンプに初掲載された」日だ。
亀有駅前 こち亀像 (画像=写真ACより)
こち亀は1976年の今日発売の週刊少年ジャンプに読み切り漫画として登場した。
当初は秋本治名義ではなく、ペンネームの山止(やまどめ)たつひこで掲載していた。
「がきデカ」などで知られたギャグ漫画家の山上たつひこをモジったものだ。
しかし、こち亀が予想以上に人気が出てしまい、100話目から本名の秋本治に変えたという。
こち亀は2016年に惜しまれつつ連載終了となった。
連載期間は40年、単行本は全200巻と不倒の記録を持っており、発行巻数の多い単一マンガ作品としてギネス記録を保持している。
全200巻、1960話の中で印象的な話はたくさんあるが、住宅に限れば主人公・両津勘吉が住む男性寮のニコニコ寮を舞台にした話が面白い。
ニコニコ寮は警察独身寮で木造3階建て(のちに鉄筋4階建てに改装)のアパートだ。
登場する話では、ほぼ全てで破壊・半壊されている。
例えば、4年に1度、夏季オリンピックが開催される年にしか目が覚めない日暮熟睡男(ねるお)が、登場する話しだ。無理やり起こされた日暮が、怒り狂い超能力で寮を全壊する、といった具合だ。
また破壊される以外にも、10万匹のゴキブリが寮に放たれるという、おぞましい事件もあった。
管理人が入院してしまった際は、両津が空室が目立ちだした寮に賑わいを取り戻そうと奮闘する。最初はマジメに勧誘していたが、そのうちに勝手に賃貸として入居者を募集し、家賃収入を得るというエピソードもある。金に目がくらんで、ドツボにはまるのが王道だった。
両津勘吉は、野蛮な言動とは裏腹に、人情に厚く多くの人から慕われている。それは劇中に限らない。
舞台となったJR亀有駅前には両津勘吉銅像が建っており観光名所となっている。昨年の連載終了時には両津と秋本に向けて「40年間お疲れさまでした」の垂れ幕が掲げられた。
JR亀有駅 (画像=写真ACより)
作者の秋本は、「あの不真面目でいい加減な両さんが40年間休まず勤務したので、この辺で有給休暇を与え、休ませてあげようと思います」と自身が生み出した不世出のキャラクターに語りかけた。
ならば、われわれ読者は、こう言いたい。
「両さん!戻って来るのを待ってるよ!」
敬称略