6月7日は建築家アントニオ・ガウディが路面電車にひかれ致命傷を負った日です。
ガウディは19世紀から20世紀にかけて、スペイン・バルセロナを中心に活躍した建築家だ。
手がけた作品のほとんどが世界遺産に登録されており、20世紀最高の建築家と呼び声高い存在だ。
サグラダ・ファミリア (画像=リビンマガジンBiz編集部撮影)
ガウディは青年期から欧州全土にその名前はとどろいていたが、晩年は熱心なカトリック教徒となり、信仰の象徴として教会サグラダ・ファミリアの建築にのめり込んでいく。
1926年の6月7日も、建設中のサグラダ・ファミリアから、教会へミサに向かったという。
教会へと向かう道すがら知り合いの彫刻家と会ったが、その人が言うには、ガウディはいつになく上の空だったという。
時刻が夕方6時を回ったとき、路面電車とぶつかった。鉄道会社には、酔っ払いの浮浪者と衝突したとの記録が残っている。
ガウディの身なりは質素で、身分証の類も見つからなかったため、高名な建築家とは気づかれず、運転手をはじめとして居合わせた誰もが浮浪者だと勘違いしたのだ。
二人の通行人が助けようとタクシーを止めようとしたが、4度も乗車拒否されたという。
病院では肋骨骨折に脳挫傷の診断を受けたが、身元が分からないという理由で治療が後回しにされてしまう。その後の、治療の甲斐なく、ガウディは3日後に息を引き取った。
もし電車にはねられた男のことを、20世紀最高の建築家だと誰かが気づいていれば?
人類はもっと多くの傑作を目の当たりにしたのかもしれない。
ガウディは、サグラダ・ファミリアのような教会以外にも、たくさんの住宅を設計していることで知られている。
世界遺産カサ・ミラは、今でも賃貸住宅として稼働中で、入居者がいる建物だ。
直線部がなく、壮麗で印象的な建物である。
高級マンションとして、家賃は当時の平均月収の10倍以上であったため、建築当初なかなか借り手が見つからなかったという。入居者は3世代に渡り賃料を値上げしないという条件で、賃貸契約を結び、現在でも4世帯が住んでいる。今では、観光地となっているため、新しく入居することは出来ない。
入居している4世帯の賃料は、約1200ユーロ、日本円で約15万円となっている。
もし、現在貸し出すとしたら家賃は、その10倍以上はすると言われている。
今もバルセロナには、ガウディの作品群を目当てに世界中から人が訪れる。
生涯独身で、建築と信仰に生きたガウディ自身が、今や信仰の対象になっていると言ったら大げさだろうか。