5月30日は「掃除機の日」だ。5=ゴ、3=ミ、0=ゼロの日に合わせて、「掃除の日」として制定され。その後、「掃除機の日」に改められた。家電メーカーなどが加盟する団体、日本電機工業会が決めたという。
19世紀に米国で風圧でゴミを吸い取る掃除機が発明された。これが、現代の掃除機の始まりとされるが、レバーを使って真空状態を作り出す仕組みのため、掃除中に何度もレバーを引くのが手間だったため、根付かなかった。
その後、20世紀に入り欧米で電気式の掃除機が開発されると、様々なメーカーが掃除機製造に参入。庶民にも手が届くようになり、欧米の課程で普及が始まった。
日本初の真空型の掃除機は、1931年に芝浦製作所(東芝の前身)が開発したものといわれている。しかし、当時は日本の住宅は畳敷きが多く。ホウキを使った方が便利だったため普及はまだ先になる。
掃除機の本格普及のきっかけとなったのは、60年代の団地ブームだ。洋室を取り入れた内装のため、掃除機が重宝されるようになった。
大きく変わった掃除機市場
90年代に入ると英国・ダイソン社製に代表されるサイクロン型がブームとなった。文藝春秋6月号の大西康之記者によると、当初は吸引力を前面に出してアピールしたが日本市場で受け入れられなかったという。潮目が変わったのは、紙パック交換不要の便利さを打ち出してからだという。
2000年代に入るとルンバに代表されるロボット型が普及し始める。不在時に勝手に掃除してくれる便利さは、核家族化が進み、不況で共稼ぎ世帯に受けた。今では、ルンバが稼働しやすいように脚の長い家具に買い換えたり、引っ越したりする世帯もいるほどだ。視覚的にもインパクトのあるルンバは、SNSとも好相性だった。猫がルンバに乗って移動する様を撮影した動画などがSNS上で大ヒット。テレビCMなどでなく、新しい形での知名度を高めていくこととなった。
掃除機の歴史を振り返ると、住宅やライフスタイルの変化が大きく関係しているのがわかる。
また、普及のきっかけを作ったのは団地ブームだったが、上階で掃除機をかける音が住民間でトラブルに発展することも多く、住宅と掃除機の関係は切っても切れないのだ。