みなさんこんにちは、日本不動産研究所の幸田 仁です。
国土交通省から住宅着工統計調査(月報)が発表されました。
この調査は、毎月全国で住宅がどのくらい建築に着手しているかを調査している統計です。
建物の建築に着手(開始)することを「着工(ちゃっこう)」と言います。
■平成20年1月から平成29年1月までの月別の新築着工戸数
持家、貸家(賃貸用)、分譲マンション、分譲一戸建(建て売り)別に、月別の戸数をグラフにしてみました。
全国の着工戸数となります。
■持家と貸家(賃貸住宅)
持家は、主に注文住宅、つまり個人を中心に自分で居住するための住宅、貸家は賃貸アパートなどの賃貸用の住宅です。
月別でみると平成20年1月以降、毎月2万戸から4万戸の間を増えたり減ったりしていることがわかりますね。
平成26年以降、持家が減りましたが貸家は少しずつ増加しているように見えます。
一つ考えられるのは、消費税の関係かも知れません。5%から8%に増税されたのが平成26年4月です。
つまり、駆け込み需要で持ち家が減少したとも言えるのではないかと思います。
一方で、賃貸用の住宅は相続対策や個人の不動産投資という需要増を反映しているからか、平成28年にかけて増加していますね。
■分譲住宅は超安定!!
注目すべき点は、「分譲マンション」「分譲一戸建」です。
毎月ほぼかわらず、1万戸前後をキープしています。
なぜでしょうか?
分譲住宅は不動産業者などが計画的に開発、分譲するために建築する住宅です。
おわかりでしょうか?
不動産業者(分譲マンション業者や開発業者、建設業者)は、住宅地を開発して建物を建築することを業としています。
もちろん、その会社で働いている人たちはたくさんいます。
ということは、月によって全く建築しなかったり、ものすごくたくさん建築してしまったりすると、経営が不安定になります。
ですから、新築マンションや建て売り住宅は、年間を通して大きくぶれないように計画的に作戦をたてながら建築しているのだろうと考えられます。
■人口減少の時代ですが新築住宅は大きく減少することはしばらくはないでしょう。
日本の人口は、少子化が進み、今後は徐々に人口が減少していく時代となります。
しかし、賃貸アパートなどの賃貸住宅は平成26年以降、徐々に増加し、平成28年後半には、4万戸にとどく勢いで建築されています。
変動が大きいのは、賃貸アパートは個人や業者の需要に応じて建築されているので、景気や政治の影響を受けやすいとも言えます。
分譲住宅については、マンション、一戸建とも安定的に供給されていますが、これは大きく減少することはないでしょう。
なぜならば、不動産分譲業者が存続するためには、計画的に建築することが必要だからです。
これから、人口が減るのだから、新築住宅はなくなるのか?と思うかも知れませんが、分譲マンションや分譲住宅はしばらくはこれからもある程度供給される理由がこの辺にあるのです。