みなさん、こんにちは。日本不動産研究所の幸田 仁です。
冬だというのに、ここ数日は東京ではぽかぽか陽気ですね。
さて、今回は豆知識ということで、「住宅地として適しているかどうか?」を見分ける参考情報を説明します。
■都市計画法と用途地域
みなさんは、「都市計画法」という法律をご存じでしょうか?普段の生活ではあまり耳にすることがないので、なじみが薄いように感じることでしょう。
しかし、実はこの法律は、住みやすい住宅地域や商業施設が建ち並ぶ商業地域に大きな影響を与えているのです。
では、どのようにして住宅地や商業地、工業地として区分しているのかといいますと、「用途地域」を設定しいるからなのです。
■具体的な用途地域のイメージ
「百聞は一見にしかず」です。見た方がわかりやすいと思いますので、具体例を。
東京都中心部周辺の用途地域を図示すると以下のようになります。これを「用途地域図」と言います。
用途地域図は、都市計画法で決められた用途地域をわかりやすくするために作成される図面です。
図にある楕円の枠や吹き出し、文字は私が挿入しました。
緑色が多い地域は住宅に適した地域。紫色から青色は工業地系、赤やピンク色は商業地系となります。
東京駅や新宿駅周辺などは、赤色が多く、商業地域だということがすぐにわかります。
また、世田谷区や杉並区、練馬区付近は緑色が多いことから、住宅地に適した地域だということになります。
■用途地域で何がちがうのか?
とはいえ、皆さんも少し疑問に思うことがあるかもしれません。
「そうはいっても、赤い地域や紫の地域にはたくさんマンションも建っているじゃない?」という疑問です。
用途地域による違いでわかりやすいのは、「建築可能な建物の用途」が制限されることです。
住宅は、商業地でも工業地(一部を除く)でも建築できますが、商業施設や工場は住宅系の用途地域には原則として建築できないのです。
ですから、商業地域(赤い地域)に大きなマンションが建築されることはありますが、住宅専用地域(緑色系の地域)では大きな商業施設やオフィスビル工場は建築できないのです。
住宅地域は静かに暮らす地域だとすれば、商業施設や工場が建築されると、それだけ交通量や騒音が発生し、環境が悪くなるからとも考えられますね。
■商業は中心部に、住宅は郊外に
このように、都市計画により、住宅は郊外に、商業地域は駅周辺など町中にという計画に基づいてまちづくりが行われる結果、特に戸建住宅は郊外に多く見ることができるのです。快適な生活環境と利便性はなかなか両立ができませんが、このように、建物の用途や建築を規制することで、静かな住宅地域を計画的に形成しているのです。