こんにちは。不動産コンサルタント兼不動産鑑定士の小林です。
最近、中古の住宅のご売却で仲介をお手伝いしていたときに
「いままで住んできたけどボロボロなのでリフォームをしたほうがよいでしょうか?」
という質問をいただきました。
答えとしては「yes」と「no」に分かれます。
【リフォーム前後の例】
<リフォーム前> <リフォーム後>
なによりも購入する方がどういう目的でその物件をとらえるかによるのですが、購入する層は
①そのまま使って生活する
②購入後にリフォーム・リノベーションして自分仕様で生活する
③取り壊して新築にする
④不動産業者が買い取る
主にこの4パターンがあります。
①の顧客層にとっては、そのまま使って生活するわけですので、
できるだけきれいな状態であることを望まれます。
②の層にとっては自分でリフォームするわけですので従前の状態に関係がないともいえますが、
やはり従前のままで使える範囲が広ければお金がかかりませんので、
その分手間もかかりませんし高く買ってくれる可能性もあります。
③取り壊して新築にする場合には従前の状態は関係がありません。
できるだけ取り壊しやすい状態がベターなので、
できれば家具・什器・備品などが少ないほうが手間がかからないと判断します。
④業者買い取りの場合は業者がどのように転売するかによります。
リフォームして売るならきれいなほうが手間がかかりませんし、
取り壊して新築にするなら③と同じになります。
売りたい物件の購入者が①から④のどれが想定されるかを見極めることが大事ですね。
自分の売り物件がどういう顧客をターゲットにするのか、仲介会社さんと一緒に
探っていただきたいと思います。
一方で、どれが高く売れるのか、という話題もあります。
どれが高く売れるかは立地や経年劣化の状態、丁寧に使ってきたかどうか、
エリアにおける住宅需給など、一概に決められませんが、
④<③<②<①
となる感覚かなぁと思います。
まず、④不動産業者(転売業者)が購入するということは、その分、業者の利益や販売経費がかかるわけですので、
転売価格からその分が差し引かれてしまい、安く売ることになります。
それよりも直接お住まいになる方に売る(①②③)ほうが高くなります。
③も将来解体されることによって建物価値がなくなるわけですから、
土地価格から解体費用を差し引いた価格になります。
あまりに劣化がひどくてどのように修繕しても使えないという建物は③になります。
②は購入する側に別途にリフォーム費用が必要となりますのでそのまま使ってくれる①よりもリフォーム
費用相当分は安くなります。
①がもっとも高くなりそうです。ただ「そのまま使うといってもどの程度快適に使えるか」によりますので、
やはり設備が良かったり床・壁・天井などの見栄えがよいほうが高くなります。
もともとの質問であります「リフォームしたほうがよい?」かどうかについてですが、
①や②のかたがたにとっては少しでも手間がかからないようにきれいになっているのが
価値を高く評価されることにつながります。
ただ、「リフォームするかしないか」は
・お金があるかないか
・住みながらにしてどこまでできるか(退去後にできるかどうか)
・見栄えがよくなるかどうか(効果面)
・時間があるかないか
などにもよってきます。
売却の期限までにまだお時間があるかたは、まずは「何もしないで売る」ことにして
「買主候補のかたの意見を聞いてみる」
が最も有効だと思います。
そのうえで買主候補に内覧してもらうと、「これはいらない」とか、「見栄えが悪い」とか、
いくつか声が聞こえてきます。
外観があまりにひどい場合には外観を清掃するとよいという話題もあるでしょう。
そのうえで、どうしても改善したほうが良い点や、投下するお金に対して見栄えがよくなる効果の高いものから順に
手をつけていけばよいと思います。
何をするにしてもすべては「買主候補の意見」=マーケットの意見を聞くというところから始まります。
仲介会社の意見も参考にしながら「よりよい見栄えのする物件づくり」を工夫してみてください。
不動産鑑定士兼不動産コンサルタントの小林でした。