これから不動産売買をする予定の方は、両手取引の意味を理解しておきましょう。
知識がないまま利用してしまうと、不動産仲介会社のいいようにされてしまうかもしれません。
最低限の知識としてこれくらい覚えておくことをおすすめします。
両手仲介とは?
不動産を売却しようと思ったら、仲介する不動産会社に手数料を支払わなければなりません。
そのときに3,000万円の中古住宅を売ったとしたらどうなるのか考えてみましょう。
3,000万円の中古物件があったら、買主と売主がいます。
そしてそれぞれを仲介する不動産会社が存在します。
不動産会社に支払う手数料は、宅地建物取引業法にて規定があって、取引額400万円以上の場合は物件価格の約3%以内の手数料を支払なければなりません。
これには消費税がかかってくるので、3,000万円の物件で仲介手数料の上限は100万8,000円です。
片手仲介とは買主と売主それぞれ別の不動産会社が仲介に入り、買主または売主の片方のみから手数料を受け取ることです。
そして両手取引とは1つの不動産会社が買主と売主との仲介になり、双方から手数料をもらうことです。
仮に両手取引で3,000万円の物件の売買が成立したら、100万8,000円の2倍、つまり201万6,000円の手数料が不動産会社の手元に入ることになります。
不動産会社にとっても2倍の報酬になるわけですから、両手取引を成立させようとするでしょう。
両手取引はアメリカでは違法
実はこの両手取引は、アメリカでは違法となります。
1つの不動産会社が買主と売主両方を見つけてきて、それを仲介して何が悪いのだろう?と思うかもしれません。
なぜアメリカでは禁止しているのかというと、買主は安く買いたい、売主は高く売りたい希望があります。
そのためそれぞれの利益が相反しているため、1つの不動産会社が仲介すると必ず片方が損することになります。
両手取引とは、買主や売主の希望を重視するのではなく、不動産会社の利益をメインに考えていることも少なくありません。
日本の不動産売買に関する法律は、アメリカと比べてまだ緩いのが実情です。
最近では両手取引の問題が多くの人に認識されてはきましたが、いまだにその現状は変わらず、消費者が損する仕組みが残ってしまっています。
両手取引にするための悪質な行為も
良心的な不動産会社であれば、お客様第一主義を貫き満足した取引ができるよう心がけてはいます。
そのような業者でも実際には、最初から両手取引を狙ったのではなく、最初は片手取引で進めていくうちに最終的にそうなってしまうこともあります。
現実的には両手取引に持ち込むために、あえて最初から両手取引を進めていく業者もいることは覚えておきましょう。
両手取引に持ち込むための手法として、囲い込みが使われています。
不動産物件の多くは、レインズに登録され、会員となっている不動産会社がその情報を自由に見ることができます。
囲い込みの場合はレインズに登録はするものの、連絡がきたほかの不動産会社に対し「現在商談中」など嘘の情報を流し断ってしまうのです。
そうすることで売主が見つからなければ、売値が下がります。
値段が下がれば当然仲介手数料も下がり、不動産会社は損するように思えます。
そのような囲い込み物件は、同業の不動産業社に売却され、リフォームして高値で売ることができれば問題はないのです。
仲介した不動産会社にとっても、紹介した業者から手数料をもらえば損しない仕組みです。
まとめ
不動産を売却する人にとって、両手取引や囲い込みは覚えておいたほうがいいでしょう。
知識があるからといって自分ですべて予防できるとはいえませんが、明らかに悪質な業者との取引は避けることができるのではないでしょうか。