先日,相続対策のご相談に来たNさんとの会話です。
Nさん
相続対策で不動産を購入する場合に,どんなものを選んだら良いのか教えて頂けますか?
私
いくつか基準がありますので順番にお話ししますね。
まずは相続対策ですので,購入価額と相続税評価額が乖離していること,ですね。
Nさん
どういうことですか?
私
現金1億円を持っている場合,そのままだと1億円が丸々相続税の課税対象となりますが,その1億円で不動産を購入すると相続税の課税対象は不動産に変わりますよね。
このとき,相続税の課税対象となる不動産の金額は購入価額ではなく「相続税評価額」という数字を使うんです。
そして,この相続税評価額が都内中心部の場合,大体購入価額の3割くらいになるんです。
Nさん
え?そんなに低くなるんですか?
そうすると,現金だと1億円が相続税の課税対象だったのが,不動産に変えると3,000万円になるんですか?
私
全部が全部ではありませんが,都内中心部の場合は大体そうなります。
そういう物件をきちっと選ぶことが重要なんです。
Nさん
なるほど。すごい効果ですね。
他にもポイントはありますか?
私
賃貸不動産となると貸事務所,貸店舗,貸アパートなどが考えられますが,初心者は貸アパート・貸マンション等の居住用がいいでしょうね。
貸事務所や貸アパートは景気に大きく左右されますから,景気が悪い時期は一旦抜けると次が決まるまで何カ月も空室なんてことはよくあります。
しかし,居住用の場合はきちんとした物件であれば比較的すぐに埋まります。
人は必ずどこかに住まないといけないですから,景気に左右される度合いは少ないんです。
Nさん
空いてしまうと借入の返済に困りますからね。
わかりました。
広さや間取りはどうでしょうか?
私
ファミリー向けの広い部屋よりも,単身者向けの部屋が多い物件の方がいいでしょうね。
Nさん
それは何故ですか?
私
ファミリー向けは広いからどうしても家賃が高くなりがちです。
タワーマンションの高層階ですと,月額家賃100万円なんていう物件もありますが,これは相続対策としては不向きです。
1戸で月額100万円の家賃よりも,10戸で月額100万円の家賃の方が空室リスクは低いです。
10戸のうち1戸や2戸空いても家賃90万円とか80万円入ってきますが,1戸で100万円の部屋が空いてしまったら1円も入ってきませんから。
家賃が入ってこないと,その月の借入の返済は自腹を切ることになります。
Nさん
そうですね。よくわかりました。
築年数はどう考えますか?
私
将来的に売却するつもりならば,断然築浅の物件を選ぶべきです。
相続対策として購入して,相続後に売却するまでの期間が10年としますと,築20年のマンションを購入しますと売却するときは築30年のマンションです。20年保有した場合は築40年のマンションになります。
古いマンションは当然売却するときに苦労しますし,値段も叩かれます。
しかし,築10年くらいまでのマンションであれば10年経過してもまだ築20年以内ですから,それほど値段が下がらず売却できます。
ですから築浅がいいと思いますよ。
Nさん
よくわかりました。
ありがとうございました。