税理士の北村英寿です。

先日,ご相談にきたD社長との会話です。

1棟もの収益不動産を所有しているD社(3月決算法人)は,今期,約1,000万円をかけて外壁塗装工事を行ったため,当期利益はマイナスになりそうです。

D社長

今度の決算では外壁塗装工事の費用が多額にあるから当期利益はマイナスになりそうです。

ということは,税金の心配はしなくて大丈夫ですよね?

そうですね。

中間申告で納付した法人税等が還付されると思いますよ。

D社長

それは嬉しいです!

ところで,外壁塗装工事の費用を一括して支払うのは資金繰り的にきつかったのではありませんか?

D社長

はい。そうなんです。

数年で分割払いとかできたらいいんですが,そんな業者ありませんよねぇ~。

そうですねぇ。数年の分割払いに応じてくれる業者は少ないでしょうねぇ。

でも,保険や共済を使って実質的に分割払いと同じ効果をもたらすことはできますよ。

D社長

えっ?本当ですか?是非教えて下さい。

もちろん喜んで。

一言でいえば,生命保険に加入するんです。

といっても死亡保険金目的ではありません。途中で解約する前提です。

支払った保険料は半分が損金で半分が資産計上となるケースが多いです。

そうすると,保険料として経費が増えるわけですから,当然,法人税は安くなります。

これを何年か継続します。例えば10年継続します。

そして10年後にまた外壁塗装をやるタイミングが来ましたら,この保険を解約します。

解約すると解約返戻金が入ってきますから,これを外壁塗装工事に充当するんです。

解約返戻金の一部は収益に計上しなければなりませんが,それに対応する塗装費用がありますから,理論上,解約返戻金と塗装工事費用が相殺されて解約返戻金に対する課税はありません。

結果として,毎年の保険料が塗装工事費用を分割払いしたことと同意義になります。

将来的に,いつ,いくらの塗装工事が必要になるかを正確に見積もることは難しいですが,やらないよりは格段に資金繰りは楽になると思いますよ。

D社長

ありがとうございます!

早速,知り合いのライフプランナーに連絡してみます。

この方法は法人経営だから可能です。

残念ながら個人の場合は,いくら生命保険料を支払っても最大で年間12万円の生命保険料控除の適用があるだけで,不動産所得の経費にはならないんです。

D社長

先生の勧めで法人化しておいて本当に良かったです。

 
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