私
もうすぐ決算ですね。
今期は当初予定を大幅に上回る増収増益で,社長頑張りましたね。
K社長
社員の士気も高く,みんな一生懸命働いてくれて,本当にありがたいです。
おかげさまで今期は結構な利益が出そうです。
そのこと自体は嬉しいのですが,税金が心配です。
そこで,3月末に来期の家賃1年分を支払って全額損金にしてしまおうと考えています。
確か,短期前払費用に該当するので問題ありませんよね?
私
その場合,賃貸借契約を締結し直す必要がありますね。
K社長
え?そうなんですか?
今の契約のまま1年分支払ってしまうのではダメですか?
私
それだと,月払いの家賃を勝手に1年分前払いしたに過ぎないので,短期前払費用による全額損金算入の取扱いは難しいと思いますよ。
K社長
そうなんですね。
今から大家と交渉するのは面倒だなぁ。
このビルのオーナーは面倒なこと嫌がるんですよ。
私
ん~,ところで,確かK社長の会社は倒産防止共済に加入してましたよね?
K社長
はい。月額20万円の掛金を毎月支払っています。
私
では,その掛金1年分を3月に一括して支払ってしまうというのはどうですか?
K社長
でも家賃と同じで契約変更が必要なんでしょう?
私
いいえ。
倒産防止共済は1年以内の前納掛金については,それを支払った事業年度で損金算入が認められるんです。
共済に連絡して1年分前払いする手続きを取って3月末までに支払えば,これまで毎月支払ってきた12ヶ月分+3月中に支払う1年分の,合わせて24ヶ月分の掛金の損金算入が可能です。
K社長
本当ですか?
それは助かります。
家賃の1年分前払いと同じ効果ですよ!
先生,教えて下さって本当にありがとうございます。
私
この取り扱いは国税庁が発遣している税務通達(※)に明記してあるので全く問題ありません。
早めに決算の打合せができて良かったです。
(※)措置法通達66の11-3