もうすぐ確定申告の時期です。
日頃から適正な納税に努めているAさんは,今年も2月中には確定申告を終わらせてしまおうと,顧問税理士に提出する書類整理に余念がありません。
先日,日頃から懇意にしている不動産会社のB社長と情報交換という食事会をしているときの会話です。
B社長
もうすぐ確定申告だね。
でもAさんは日頃から資料整理をきちんとしているから,間際になって慌てることは無いでしょ?
Aさん
そうですね。管理会社がきちんとしていて月々のレポートもしっかりしているし,他の雑多な費用も毎月領収書を整理しているから,今回も問題なく早く終わると思いますよ。
B社長
Aさんは昨年,前のアパートを売却して,当社から新規アパートを購入して頂きまして,本当にありがとうございました。
Aさん
いえいえ。駅近で前のアパートよりも利回りが良いアパートを紹介して頂いて,B社長には感謝していますよ。こちらこそありがとうございました。
B社長
喜んで頂いて幸いです。
ところで,Aさんは昨年中に他社からも物件を購入したとお聞きしましたが,何を購入されたんですか?
Aさん
物件というか,アパートではなく土地です。
地方の貸駐車場なんですが,これも結構利回りがいいんですよ。
B社長
それは良かったですね。
貸駐車場ということは,今後は確定申告で消費税も申告することになるんですね。
大変ですね。
Aさん
私は昨年も一昨年もアパートの家賃収入しかないから消費税免税事業者ですよ。
だから消費税は申告しなくて大丈夫なんです。
B社長
え?でも昨年アパート売却していますよね?売却金額いくらでしたっけ?
Aさん
土地建物合計で1億円です。
土地が7,000万円で建物が3,000万円だったと思います。
B社長
だとすると建物の売却は課税売上に該当して,1,000万円超えているから,来年から消費税課税事業者ですよ!税理士に確認した方がいいんじゃないですか?
Aさん
そうなんですか?知らなかった!
B社長ありがとうございます。顧問の先生に確認してみます。
居住用アパートやマンション等の賃貸事業は消費税非課税取引ですが,その建物を売却した場合のその売却は消費税課税取引です。
居住用アパート等の賃貸事業の場合,日頃は消費税を意識しないでしょうから見落としがちですが,建物を売却した場合で売却代金が1,000万円を超える場合には,売却した年の翌々年は消費税課税事業者に該当します。
消費税課税事業者に該当しても,非課税売上(居住用アパートの家賃収入等)のみであれば結果として納税する消費税は発生しませんが,Aさんのように課税売上(貸駐車場収入)がある場合には消費税が発生します。
この場合には,簡易課税を選択する等して納税額を抑える検討を事前にすることが必要となります。