避けて通れない税務調査
法人であれ個人事業であれ年に1度必ず確定申告をしなければなりませんが,確定申告につきものなのが税務調査です。
税務調査は第一義的には“任意”となっていますが,税務調査官は強力な質問検査権を有していますので実質的には“強制”と言っていいと思います。
従いまして,税務調査を拒否することはできませんが,そもそも税務調査の対象となりにくくすることはできます。それは「書面添付制度」を実践することです。
書面添付制度
書面添付制度とは,税理士がクライアントの確定申告書を提出する際に,確定申告作業において税理士が計算し,整理し,又は相談に応じた事項について詳細に記載した書面を当該確定申告書に添付することができるという制度です。
すなわち税務会計に関する職業専門家としての税理士が適正に確認し,計算した申告書であることを証明する制度です(税理士法33条の2)。
この書面を添付しますと,課税当局はいきなり税務調査を行うことができません。
申告書に疑問がある場合には,まずは税理士に対し意見の聴取を行います(税理士法35条)。
もしもこの段階で疑問点が解決されれば税務調査は省略されます。
それは,職業専門家としての税理士が適正に関与している法人や個人事業主よりも,そうでない法人や個人事業主に対して重点的に調査を実施し,税務行政の合理化を図るためです。
よって,痛くもない腹を探られる税務調査を回避するためには,この書面添付制度の実践が極めて有効ですが,そのためには日頃から書面添付制度を意識した会計帳簿の作成,すなわち適正な会計処理が求められます。
また,この書面添付制度を実践しているクライアントについては,金融機関に借入を申し込むにあたり「決算書の信頼性」をアピールすることもでき,金融機関によっては金利が低くなることもあります。
尚、平成28年11月1日に国税庁が公表した「平成27事務年度実績評価書」によりますと,この税理士法33条の2に規定する書面の添付割合は,所得税1.2%,法人税8.6%,相続税13.6%となっています。
弊事務所では、法人税については約90%、相続税については100%実施しています。
その効果か否かはわかりませんが、弊事務所では税務調査が極めて少なく、年に1件あるか無いかです。
今後は所得税の添付割合も高めていきたいと考えています。
あなたの顧問税理士は書面添付制度を実践してくれていますか?