購入する段階から出口を考えておく―出口戦略
不動産を活用した資産運用や相続税対策を検討するとき、利回りばかりに気を取られる方がいらっしゃいますが、一番重要なのは将来的に売却できるか否か―「出口戦略」です。
つまり、入り口で不動産を選定する段階から、将来的に売却できる物件であるか否かを充分に検討し、選定しておく必要があるということです。
理由は至って簡単です。
購入した不動産を売却するまで最終的な利回りは確定しないからです。
売却金額で利回りは変動する
例えば、1億円で不動産を購入し、その想定利回りが10%(年間1,000万円)だとします。
10年間保有し続けた場合の収入合計は1億円(1,000万円×10年)ですが、この段階では初期投資を回収したに過ぎず、10年間の利回りは0%です。
11年目の家賃からがやっと利益と呼べるものであり、11年間での利回りが10%、1年に換算しますと0.9%にしかなりません。
一方、11年経過後に購入価額の9割で不動産を売却して元本を回収することができたとしますと、初期投資1億円に対して、収入は家賃収入11年間11,000万円と不動産売却代金9,000万円の合計2億円となり、11年間での利回りは100%、1年に換算しますと9%になります。
仮に購入金額の1億円で売却できたとしますと、11年間での利回りは110%、1年に換算しますと10%です。
同様に、1.1億円で売却できた場合の11年間での利回りは120%、1年に換算しますと11%です。
このように最終的に売却するまで利回りというのは確定しないものであり、売却金額によってトータルでの利回りは大きく変動します。
ということは、購入段階での想定利回りが高いに越したことは有りませんが、あまりそこに固執する必要は無く、きちんと売却できる物件であるか否かが重要となります。
特に相続対策の場合、本来の目的は推定相続税を下げることですから、利回りよりも将来的にきちんと売却できる物件であるかを最重要視すること―「出口戦略」が重要となります。