名古屋で相続専門の会計事務所を主催しています、税理士・公認会計士の木下です!
前2回は「不動産の法人化」をお送りしましたが、今回も引き続き同じテーマでお送りします。
前回は、建物をいくらで売却すればよいか? を検討しました。
実務上の論点につき、前回の補足で「建物売却に関する消費税」を挙げておきます。
建物売却した際には「課税売上げ」に該当するため、
1,000万円を超える売却金額の場合には、2年後に消費税の課税事業者に該当してしまいます。
元々、個人で消費税の課税事業者の場合には、その金額に対して消費税負担が生じるため、
物件価額が大きければ大きいほど、結構な金額の消費税を納めることになってしまいます。
ですので、不動産の法人化を検討する際には、様々な税負担の可能性を検討する必要があるのです。
↓ さて・・・
売却する金額は理解した!
↓ では・・・
法人が支払うお金はどうしたらいいのか?
例えば、新設法人の場合、最初からお金なんてありませんから困ってしまいます。
仮に、資本金を多額に入れたり(中小法人の特例適用のためには得策ではありません)、
会社に個人から多額の貸付をしたりすれば、会社にお金を作ることは可能です。
↓ でも・・・
個人にそんなにお金がなかったら、そもそも無理な話ですよね。
↓ ってことは・・・
方法は2つしかありません。
①金融機関からお金を借りる
②会社と個人との間で貸借り関係にしておく(未収未払の状態)
↓
①は・・・
事前に金融機関の稟議を通しておく必要があるでしょうし、
しっかりとした説明資料(キャッシュ・フロー表など)も必要になるかと思います。
かなり手間をかける必要がありますが、実際にキャッシュが動くので、
税務署対策としては強力なエビデンスになりえます。
↓
②は・・・
キャッシュの動きを伴いませんので、かなりハードルが下がります。
ですので、実務上は②を選択される方が多いような気がします。
こちらを採用する場合には、金銭消費貸借契約書・返済予定表を作成し、
しっかりと返済実績を作る必要が生じますが、当面の資金繰りはかなり楽になります。
ただし、あくまで残債のない収益物件を法人化する場合が前提ですので、
残債がある場合には、こんなに簡単にはできません。
残債の金額にもよりますが、①を選択せざるを得ないと思われます。
税務だけでは、どうにもならない問題ですので、
こういったことも含めて多くの検討事項があるのが「不動産の法人化」になります。