名古屋で相続専門の会計事務所を主催しております税理士・公認会計士の木下勇人と申します。
前2回に引き続き、生産緑地法関連情報をお届けします。
今回は、税理士先生もよく勘違いしている部分ですので、かなり注意を要します。不動産業者・建築会社の方は特に知っておくべき内容です。
もちろん、税理士先生も絶対に知っておかなければならない内容です。
Q3.生産緑地が指定解除される場合とは?(←ここ大事です!)
以下のいずれかに該当する場合に市区町村の農業委員会に買取申し出を行い、市区町村が買収せず、買取希望照会・農業経営者への買取凱旋を経て生産緑地として買収する者がいない場合には生産緑地の指定が解除される。
①生産緑地の指定後30年経過。 → いわゆる「34年問題」!
②土地所有者または主たる従事者の疾病・障害等により農業等の継続が困難な場合。
③土地所有者の死亡により相続した者が農業等を営まない場合。
指定解除後に当該土地は再び生産緑地の指定を受けることはできない。上記のいずれにも該当しない場合には生産緑地の指定は解除されない。
この部分は非常に大切です。
①は特に大事な問題です。平成4年から本格的にスタートした生産緑地法ですが、平成4年当初に現状指定の約8割がなされています。
そのため、平成4年から30年経過するのがいわゆる「平成34年」なのです。
次回に平成29年改正案を全てお届けします。
今回は②③を具体的に解説します。
②生産者は農業委員会へ主たる従事者など、農業生産に係る従事者をを届出しています。
例えば、父母が農業従事者であれば、父母ともに体が悪くなって誰も農業従事できない場合、
医者の診断書をもらうことなどにより、指定解除要件を満たすことになります。
実務上、これで生産緑地指定を解除することが多いように感じます。
③ここは勘違いしやすい部分ですので、注意が必要です。
例えば、父と長男が農業従事者となっている場合、所有者である父に相続が発生した場合、
ただちに指定解除要件を満たす訳ではありません。
農業従事者である長男が存命であり、この状態では指定解除できないことになります。
単純に農地の所有者に相続が発生したことをもって解除できると勘違いしている方も多いのが実情です。
実務上、注意をしたい箇所です。
次回は、34年問題に対する改正案をお届けします。