皆さん、突然ですが、「おしどり贈与」ってご存知ですか?

なんのことはありません。。。

前回、お届けした「贈与税の配偶者控除」のことです。

何でこんなネーミングなんですかね。。。

多分、婚姻期間が20年間が要件だから、長く連れ添った夫婦ってことで

こんなネーミングなんでしょうね。

さて、前回お届けしたのは「夫から妻への自宅を低額譲渡した場合の適用」でした。

今回は、もっと頻繁に起こりえるケースだと思いますので、

是非とも熟読してください!

めちゃくちゃ注意してほしいのです!

ケーススタディ

夫が所有する自宅は先代から相続した土地に自らが住宅ローンを組んで建築したものです。

現在は住宅ローンも完済し、妻と2人で仲良く住み続けている自宅です。

自宅情報は以下のとおり。

土地:相続税評価額4,000万円(=時価6,000万円)

建物:相続税評価額600万円(=時価なし)

昔は子供がいたため、2階建てのこの自宅を有効活用できていたが、子供が巣立ち

現在、妻と2人で住むためにはかなり広いと感じており、妻も歳を重ねてきたため

掃除が大変だと悩んでいる。

そこで、近々、この自宅を売却し、その売却代金で購入できるぐらいのマンションに

移り住もうと夫婦で話合っているところである。

よく考えられる提案

ステップ①:

妻への「おしどり贈与」!

夫 → 妻 

土地:2,000万円 + 建物:100万円(暦年贈与枠)=2,100万円

要件を満たせば、贈与税無税で渡せる!

ただし、以下は贈与税無税でも別に生じます。

①不動産取得税

②登録免許税

③司法書士手数料(自ら申告する場合、不要)

④税理士手数料(自ら申告する場合、不要)

■持分割合

土地:夫1/2、妻1/2

建物:夫5/6、妻1/6(ただし、建物の市場価値はゼロ)

ステップ②:

自宅(共有不動産)を不動産屋へ売却。

居住用不動産の3,000万円控除を夫婦で狙う!

要はこれを夫婦で狙うために、ステップ①があったということです。

夫:

時価3,000万円(1/2)

ー 概算取得費150万円(3,000万円×5%)

ー 特別控除額3,000万円

= 0(ゼロ)

妻:

時価3,000万円(1/2)

ー 概算取得費150万円(3,000万円×5%)

ー 特別控除額3,000万円

= 0(ゼロ) ← 3,000万円控除を取るためには建物持分を持つことが必要

検証 (ステップ①のみ)

「おしどり贈与」の要件に以下があります(相続税法21条の6第1項、2項)。


①婚姻期間が20年以上の夫婦間で贈与が行われたこと

②個人が配偶者から贈与された財産が、
 贈与を受けた個人が住むための国内の居住用不動産であること、
 又は居住用不動産を取得するための金銭であること

③贈与を受けた年の翌年3月15日までに、
 贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で
 取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、
 その後も引き続き住む見込みであること

④同じ配偶者からの贈与について、
 過去に贈与税の配偶者控除の適用を受けたことがないこと

⑤控除を受ける金額等の記載があり、かつ、
 婚姻期間が20年以上である旨を証する書類、
 その他所定の書類を添付した贈与税の申告書を提出すること

ポイント:上記③赤字部分居住継続見込み要件

贈与による取得後にその居住用不動産を他へ譲渡することを予定していたときは、

「引き続き居住の用に供する見込み」に該当しないため、

贈与税の配偶者濃っ所の適用が認められません。

   ↓ では・・・

絶対に認められないかというと・・

やむを得ない事情がある場合には適用余地がある かと思います。

Ex)

1)贈与日(もちろん、登記も近い日で入っている)後、転勤などが発令されため自宅売却
2)贈与日(もちろん、登記も近い日で入っている)後、夫が病気で入院し介護の関係で自宅売却

など、贈与による所有権移転登記後、
やむを得ない事情で売却する場合などが該当するかと思います。
安易な節税は絶対にダメです!
合理的な理由がある場合の緊急避難的な取扱いですので、注意してください!
 
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