前回は、どのタイミングで不動産を売却したら節税になるのか?(相続編)を書かせていただきました。
今回は、居住用不動産3,000万円控除 と 住宅ローン控除 の併用 について書きたいと思います!
居住用不動産の3,000万円控除(租税特別措置法35条)
これってそもそも、どんな制度が簡単に書きますね。
自宅(建物)とその敷地って一体になっていますが、
この一体となったマイホームを売却した場合の話です。
次のマイホームを購入するところまでは要件にしていませんが、
マイホームを売却した以上、次のマイホーム購入も視野には入る可能性がありますね。
↓ それでは・・・
例えば、もともとのマイホームが親から相続した先祖代々の土地にあるマイホームだった場合、
売却すると土地の金額が不明なのが普通ですから、その場合
①売却金額の5%(概算取得費っていいます)
②仲介手数料
ぐらいしか経費として引けません。
ということは、ほとんど利益です。
わかりにくいので、金額を当てはめてみますね。
■ケーススタディ
①売却金額:4,000万円(税込:土地建物合算)
②取得費:不明(∵先祖代々の土地)
③譲渡費用:仲介手数料のみ(=売却金額×3% と仮定)
譲渡所得(要は売った時の儲け):
4,000万円 ー(4,000万円×5%+4,000万円×3%)
=4,000万円 ー 320万円
=3,680万円
譲渡税(長期:所得税15%+住民税5%):復興税は無視します
3,680万円 × 20%
=736万円
↓ ってことは・・・
手残り:
4,000万円 ー 仲介手数料(4,000万円×3%:120万円)ー 736万円
= 3,144万円
・・・手残り78.6%(3,144万円/4,000万円)・・・
仮に・・・次のマイホームに4,000万円を投入したいのに手残り少ないじゃん・・・
なんてことになりますよね。
↓ そこで・・・
そこに住んでいたマイホームなんだから、優遇してあげないと困るよね。
ってことで、要件はかなりクリアしないといけませんが、優遇措置を設けています。
↓ それが・・・
居住用不動産の3,000万円控除 です!
↓ 上記例に当てはめると・・・
譲渡所得3,680万円 から 3,000万円を控除してくれます!
↓ ってことは・・・
3,000万円 × 20% = 600万円 の節税です!
使えるなら、絶対使いたい特例です!
次に、マイホームを売却した後に次のマイホームを購入する場合、
売却金額から仲介手数料などを控除した手残りでは、金額が不足したりすると
当然、住宅ローンを組みますよね。
そこで、登場するのが・・・
住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)(租税特別措置法41条)
毎年の住宅ローン残高 × 1% の税額をまるまる控除してくれる優れものです!
ただし、毎年の上限(認定住宅の場合)50万円であり、10年間控除可能なので、
最大 50万円 × 10年 =500万円 が限度額になりますね。
居住用不動産3,000万円控除 と 住宅ローン控除 は併用可能か?
結論から言うと・・・
併用できません!
ご注意を!
↓ ということは・・・
どちらの制度を使う方が有利かを判定しないといけない! ということになります!
最初に売却する旧マイホームで、どれだけ譲渡所得(儲け)が出るか?
次に購入する新マイホームのために、どれだけの住宅ローンを借りるのか?
これらを天秤にかける必要があります。
単純比較は難しいので、しっかりとシミュレーションしましょう!
難しければ、税理士に依頼しましょう!
3,000万円控除をダブルで取れないか? など、売却前に仕込みをかけておけば
3,000万円控除の方が有利になるでしょうけど、それに気付けるか。。。
機会があれば、その話しもしてみたいと思います。
今回は、ここまでです!
両者は併用できませんので、要注意ですよ!