引き続き、消費税の還付についてのその③となります。
前回は前提条件の「①消費税の課税事業者であること」についてのお話をしました。
課税事業者であることの条件はいくつかあるのですが、特に届出書を提出する場合には、期限にも注意しなければならないことをお話ししましたので、それについて、ちょっと事例を交えてお話ししたいと思います。
当事務所では、無料相談もお受けしているのですが、相談にいらっしゃる方で多くあるケースのお話です。
Aさん:「今年、不動産を購入することになりました。消費税の還付が受けられると他の方から聞いたのですが、この場合だとどれくらいの還付になり ますか。」
税理士:「わかりました。それでは昨年と一昨年の確定申告を見せていただけますか。」
Aさん:「はい。こちらです。」
税理士:「一昨年も昨年も税売上収入が1,000万円以下ですね。ということは届出書を提出されたのでしょうか。」
Aさん:「届出書って何ですか?」
税理士:「消費税の還付がされるといっても、誰でも受けられるのではなく、そもそも消費税の申告の対象となる方についてのお話です。
Aさんの場合ですと、一昨年も昨年も課税売上高が1,000万円超はありませんので、消費税の申告の対象ではありません。
ただ、そのような方でも、消費税の申告の対象になることを自分で選択することができます。
それが消費税課税事業者選択届出書というものです。この届出書を提出するともともと、消費税の申告の対象でない方も消費税の申告の対
象者となります。実はこれには期間があって、今年の申告について消費税の申告対象としたい場合には、昨年中に届出書を提出しておかな
ければなりませんので、今回の申告は間に合いません。」
というように、昨年に相談にお越しいただければ間に合ったものも間に合わないケースも多々見受けられます。
もしこのようなケースで検討されている方は、事前に進めていく必要があります。
ただし、届出書についてはすべてのケースで昨年中が期限ということではありません。
実は、今年中でも間に合うケースもあります。
それは、今年から事業を始めた方の場合のみです。
今年から事業を始めた方は当然、昨年も一昨年も課税売上などはありません。
しかし、事業を新たに始められた方については、その年中に届出書を提出すれば、申告の対象者となることができます。