売主側から売却をキャンセルしたいこともある
売却のために動いていてもさまざまな理由で売却を取りやめることもあるでしょう。
例えば、
・住み替えするつもりで、新しい住居のローンの申請をしていたのに、残念ながら審査が通らなかったケース
・転勤の辞令が出ていたので売却するつもりだったが、急きょ、転勤がなくなり売却する必要がなくなったケース
・思うように売却の話が進んでおらず、「やっぱり賃貸に出した方がいいのでは・・・」と気持ちが変わったケース
などが挙げられます。
では、このようなケースではキャンセルは可能なのでしょうか。
キャンセル料発生のタイミングはいつ?
結論からいうと、キャンセルは可能です。しかし、キャンセルを申し出るタイミングにより、違約金やキャンセル料などが発生してしまいます。
そのタイミングは
1.売買契約を締結する前まで
2.売買契約の締結以降、手付解除期日まで
3.手付解除期日以降
の3つパターンで分けて考える必要があります。
1.売買契約を締結する前まで
売買契約が締結する前にキャンセルをした場合、つまり買主が購入の申し込みをした段階では特にキャンセル料等はかかりません。これは購入の申し込みが本契約を締結する前の、単なる「契約の予約」と考えられているからです。そのため、この段階では本契約が成立していないということで、契約に関するキャンセル等料はかからないとされています。また、売主が個人ではなく不動産会社などの宅建業者の場合は条件が異なり、「宅地建物取引業法(通称 宅建業法)」などでジャッジするという考え方もできます。宅建業法では「契約を締結している状態」とはどんなものかを明確に定義しています。売主が宅建業者というのは中古物件の場合よりも、新築の分譲のパターンの方がイメージしやすいかもしれませんね。宅地建物取引業法が制定されている理由には不動産の売買が一般的なモノの売買と比べ、さまざまな面で特殊性があることが関係しています。通常のモノの売買は民法で判断するのですが、不動産の売買を民法通りに解釈するとおかしくなってしまうことも多々あり、宅建業法などでジャッジすることが多いのです。