一棟ものと区分所有、どちらが優れているとは一概に言えませんが、
不動産による資産形成という観点からは、圧倒的に一棟もののほうが優れていると思います。
理由は簡単で、ある程度の資産規模を目指す人の投資対象としては、区分所有では規模が小さすぎるからです。
区分所有の物件を検討する場合、比較的利回りの高いワンルームが候補になります。
価格は最近値上がり傾向にあるとはいえ、安いものでは数百万程度、高くてもの2000万~3000万円です。
資産規模を拡大するにあたり、区分所有を何十個、何百個と購入する方法もなくはないですが、
手間を考えると効率的ではありません。
規模が小さいことの他にも区分所有が資産形成に向かない点は次の通りです。
①ほとんどが鉄筋コンクリート造で減価償却期間が長い(最大47年)ため、効率的な節税がしにくいこと
②都心部に多いため利回りが極端に低いこと
③修繕積立金や管理費、固定資産税などのコストが高いこと
④オーナーの権限が及ぶのは自己所有の室内のみで、建物全体の経営判断(大規模修繕、清掃など)は理事会や
管理会社に依存しなければならないこと
※①の減価償却について補足しておきます。
減価償却とは、不動産のような償却資産にかかる購入費などを、国税庁の定める耐用年数に応じて数年にわたって費用計上していく
仕組みのことです。
例えば、鉄筋コンクリート造、新築で1億円の建物を購入したとします。
鉄筋コンクリートは税法上の耐用年数47年ですので
1億円÷47年=約210万円が毎年の経費に計上できるということです。
仮に、この新築1億円の物件が木造であれば、税法上の耐用年数22年ですので
1億円÷22年=約450万円が毎年に経費に計上できるため、効果的な節税が可能ということです。
ポイントはキャッシュアウトせずに経費計上できる点にあります。
このように区分所有は、不動産賃貸業というよりも「金融商品」に近いと思います。
経営的な側面が少なく、気軽な投資をしたい人には適しています。
結果、区分所有は資産形成に向かないと思っています。