新築の収益物件を建てるにあたっては、まず土地から購入し、請負工事契約を締結して建物を建てていきます。その際に、建物の設備で必ず考える一つとして給水設備があります。
この給水設備を整えるにあたり、給水方式を選択できる場合があります。その給水方式には「貯水槽水道方式」と「直結給水方式」の2種類があり、使用用途、給水高さ、所要水量、維持管理等に応じていずれかの方式を選ぶことができます。
今回は、直結給水方式の仕組みとメリットデメリットについてお伝えしていきます。
☆仕組み
直結給水方式とは、水道本管の水圧を利用して、直接各戸の蛇口へ給水する方式のことです。
☆メリットデメリット
「直結給水方式」
メリット
① 安全でおいしい水を貯水槽を通さずに直接飲むことができます。
② 貯水槽の点検・清掃が不要です。
③ 貯水槽のスペースが不要なため、敷地を有効に活用できます
④ 配水管の圧力を利用するため、エネルギーを有効に活用でき、電気使用量が減少します。
デメリット
① 水道本管、配水管の事故等による断水が起きると、貯水機能がないためすぐに給水が不可能になります。
② 利用できる建物の高さに制限があります。
③ 直結給水方式が利用できない地域や多量の水を使用するなど特定の建物に関しては利用できない場合があります。
また、どちらの給水方式を選択するかにより、水道加入金についても違いがあります。
水道加入金とは、新しく水道を引くときにかかる費用で、水道メーターの口径に応じた金額が決まっており、13ミリで3万円~10万円、20ミリで4万円~20万円、25ミリで12万円~40万円程度です。(この水道加入金については、「無形固定資産」の「水道施設利用権」として15年で償却します。)
例えば16世帯のアパートの場合、直結給水方式ですと
水道加入金(20ミリ)×16世帯+工事費=約500万円かかります。
各世帯分の加入金が必要となりますので、イニシャルのコストが高くなります。
一方、貯水槽水道方式ですと、
水道加入金(25ミリ)×1世帯+工事費+受水槽+ポンプ=約200万円かかります。
直結給水方式に比べて、太い水道管にしなければなりませんが、1本分の加入金で済みます。
その代り、受水槽やポンプを購入しなければなりません。
貯水槽水道方式は、イニシャルコストは少ないものの、貯水槽の取り換えや水質維持の管理費用としてのランニングコストを考える必要があります。
このような違いだけでなく、水道料金の徴収についても違いがありますので、これについては次回の号でお伝えしていきます。