こんにちは、行政書士・ファイナンシャルプランナーの片野真理子です。
今日もよろしくお願いします。
マンションは、新築を買って入居したらもう2割は値崩れする、と言われます。
ですが、毎年2割ずつ値が落ちて、5年で減価償却状態、ということにはもちろんなりません(当然です、すみません)。
立地にはもちろん左右されますが、リフォームをしたりすると、築25年くらいなら十分な値がつきます。
今調べたところでは、築80年のマンションの1室(リフォーム済み)が、4000万円以上の価格で売りに出されていました(平成29年2月7日午後3時現在)。
このマンションのある地域は、近年大規模な再開発がなされていますので、その影響もあるのでしょう。
4000万円をポンとキャッシュで一括購入できる人はそうそういないので、この物件も住宅ローンを組んでの購入が想定されていると考えられます。
ということは、あと数十年、住居として十分であると判断されていることになります。
築100年超えを見込んでいるということですね。
マンションの耐久性や品質を維持するために、大規模修繕は欠かせません。
きちんとした修繕計画の策定と、その実行が、マンションの数十年後を左右するのは言うまでもないことです。
今回は、計画実行のキモ、修繕積立金の保管方法について、いくつかご紹介してみたいと思います。
修繕積立金は、当然ですが莫大な金額です。
それが、通常はマンション管理組合の口座に保管されているわけですが、定期預金や普通預金に入れていては、あっさりペイオフの対象になってしまい、万が一その銀行が破たんしてしまったら、1000万円までしか保護されません。
マンションの規模にもよりますが、1000万円で収まる修繕計画はほぼないと考えていいでしょう。
計画は窮地に立たされますし、それはすなわちマンションの窮地でもあります。
そうならないために、いわゆるペイオフ対策が施されます。
〈預金〉
「1000万円ずつ分散して違う銀行に預ける」という手段がありますが、管理が煩雑になってしまうというデメリットがあります。
銀行には「無利息型普通預金」というものがあります。
これはペイオフの対象外で、全額が保護されます。
デメリットとしては、一切の利息がつかないことです。
全く運用せず、ただただ持っているだけということですが、ただし、安全度は抜群です。
〈債券〉
債券といったらまず浮かぶのが「国債」です。
元本には国が責任を持っているので、安全度は高いと言えるでしょう。
日本は借金大国だから、国債は危ない、という考えもあるかもしれませんが、一方、日本国債は自国通貨建てで、9割以上が国内で消化されているため、実際に破たんする可能性は低い、という考えも論理的です。
ちなみに、元本保証が第一、という修繕積立金保管の趣旨から考えると、外国債券を購入することはおすすめできません。
他、企業の社債も債券ですが、マンション管理組合向けに特化した、住宅金融支援機構の「マンションすまい・る債」という債券があります。
これは、利率は低いのですが、元本については住宅金融支援機構が保証し、万が一住宅金融支援機が破たんした場合は、当該財団から優先弁済を受けることができる、というものです。
住宅金融支援機構の企業体力から考えると、安全度は比較的高いのではないかと思います。
〈保険〉
修繕積立を目的とした保険への加入も考えられる選択肢です。
ただし、保険は元本が保証されているとは限りません。
どんな場合に元本割れを起こすのか、加入前にきちんと確認する必要があります。
一部ですが、代表的な修繕積立金管理方法をご紹介しました。
マンションの多くでは、修繕積立金の保管・運用をどうするかについて、管理組合の総会において話し合い、決議されています。
管理組合総会は年1回程度が通常のようです。
「休日にめんどくさい…」と思われるかもしれませんが、いつも委任状を出すばかりではなく、できるだけ総会には出席して、自分の財産を管理しましょう。
出席できないときも、議事録には必ず目を通すことをおすすめします。