こんにちは、行政書士・ファイナンシャルプランナーの片野真理子です。
今日もよろしくお願いします。
最近のニュースで、豊洲市場予定地の水からシアンが検出されたというものがありました。
これは、「基準値までなら検出されても問題ない」という類の物質ではなく、「出てしまったらダメ」というものとのこと。
基準については、東京都環境局のHPから確認することができます。
ミステリー小説などで目にしたことがある青酸カリも、シアン化カリウムということでシアン化合物の1つだそうです。(センター試験は化学選択だったのに全然覚えてません)
今回の検査結果に揺らぎがないのだとすれば、という前提でですが、猛毒が含まれた土壌なら移転は難しいだろうなと単純に考えます。
が、ここで論じるには大きすぎるテーマですし、趣旨に全くそぐわないので、今後の動向に注目、ということでここまでにしたいと思います。
豊洲のシアンは水についての話ですが、土壌の性質や含有物というものは、不動産の処分というシーンでも関わりがあります。
これは法人の例です。
ある地方の市で、駅前の大きなスーパーマーケット(チェーン)が、建物老朽化と売り場改良のため、建て直しを計画しました。
実はその土地には、スーパーマーケットができる以前は工場があったらしく、調査を実施したところ、基準を超える有害物質が検出されてしまいました。
浄化には多額の費用がかかることから、採算がとれないという判断に至ったようです。
やむなく駐車場として利用されることになったのですが、そのスーパーマーケットは人を集めることに一役買っていたため、その駅前は大変寂しい様子になってしまい、駅前はむしろ30年前のほうが賑やかだった、という状態になってしまいました。
この例は、ビジネス展開用に土地をわざわざ購入した、というものではないので、インパクトは大きいにしてもまだましかと思います。
ですが、新たに買い求めて後から土地について問題が見つかったら、損害が発生しますし、売主だった場合は契約解除を求められたり、訴訟対応が必要になったりして、弁護士に相談しなければならなくなる可能性もあります。
土壌汚染は、土地の欠陥ということで、いわゆる瑕疵担保責任が問題になるからです。
自身で取得した土地であれば、購入時点でそのような調査をしていたり、または売り手から説明を聞いていたりする場合が多いと思います。
問題になりやすいのは、相続で取得した不動産です。
相続は、当然ですが、親から実家を受け継ぐことだけを差すのではありません。
全く交流がなく、何なら会ったこともない親戚の土地を相続する場合もあります。
例えば、
「自分の祖母は最初の夫との間に3人の子を設けたが、娘(自分の母親)1人だけを連れて離婚した。
今回、昔祖母が別れを余儀なくされた子(自分にとっては伯父)を相続することになった」
といったケースです(相続人調査がややこしいパターンですね)。
こんな感じを想像してください
もしかして、「昔クリーニング屋さんを経営していた」という方がいるかもしれません。
馴染みのない土地を、特に事業者に売却する場合は、調査をしたほうが無用のリスクを避けられるといえます。
※クリーニング屋さんでも、「衣類の受け渡しだけをしていた店舗」「ドライクリーニングを扱っていなかった店舗」などは土壌汚染が問題にならない場合があります。
調査費用は、土地の広さや調査内容などにより異なりますが、簡易なもので10万円~、きちんと行うなら数十万円~といった相場のようです。(浄化はそれよりずっと多額になります)
それを行うことによって回避できるリスク・コストや、「調査済み」ということで維持される不動産価格を考えれば、検討してみてもいい費用といえるのではないでしょうか。