こんにちは、行政書士・ファイナンシャルプランナーの片野真理子です。
今日もよろしくお願いします。
秋が深まってきました。
12月の背中が見えてきましたが、油断なく過ごしていきたいものです。
多くの人が、家やマンションを買うときは、その後のライフプランまでよーく考えます。
2人とも仕事を続けるのか。
どういった生活水準でありたいのか。
家族の数。
老後も住むつもりか、と、たっぷり考えます。
一生モノの買い物ですから当然です。
それでも、その通りにはいかないこともあります。
今回は、とても幸運なマッチングの例をご紹介します。
30歳のTさんご夫妻は、お2人とも大手企業の正社員として、バリバリ働いていました。
趣味も多く、これからも2人で自由に暮らしていきたい、という計画で、都心へのアクセス抜群のマンションを購入しました。
平日は2人とも忙しいので、家では思いきりくつろぎたい、友人にも遊びに来てもらいたい、ということで、奮発して、2LDKルーフバルコニー付きで眺望の良い部屋に決めました。
Tさん夫妻は部屋を大変気に入っており、「あの部屋に帰る」と思うと仕事も進むという素晴らしい好循環にありました。
3年が経ち、購入当時には思いもよらなかった状況になりました。
T夫さんが、土地付き一戸建てが欲しくなってしまったのです。
きっかけは、ルーフバルコニーで始めたガーデニングでした。
初めは、「少し緑があったらいいな」と思ってエバーフレッシュを置いたくらいでした。
←エバーフレッシュ
そのうち、「もっと濃い緑がほしい」「色味がほしいから花も買おう」「ハーブやちょっとした野菜を育ててみよう」「テーブルとイスも置こう」となっていきました。
広いルーフバルコニーがありますし、生活に困っているわけでもないですし、自分の時間は基本的に自由に使おうというスタイルのご夫婦です。
植物を買いたいという欲求に対して上手い具合に抑制機能のある要素がありません。
しかも遊びに来る友人はめちゃくちゃ褒めます。
T夫さんはいろいろな植物の育て方を勉強し、ルーフバルコニーはどんどん素敵な庭になっていきました。
※マンションの管理規約に反しない範囲の加工具合です。
そしてある日、T妻さんからその言葉が発せられました。
「お庭があったら、木も植えられたのにね。お手入れは大変だけどさー。」
まあ実際、「ガーデニングにはまった」というだけで一戸建てを希望するに至ったわけではありませんが、そういうことになりました。
Tさんご夫妻は、不動産売却を得意とする会社に勤める友人に、まずはふんわりと話をしてみました。
すると、その友人Uさんは、次のように述べました。
「Tのマンションは、築浅で地震対策がしっかりされた建物だし、都心へのアクセスがすごくいいけど都会すぎないし、生活インフラがよく整ったきれいな街だし、車がなくても生活にはまったく困らない場所にあるから、リタイア後のお住まいを探している方におすすめしてみたら、反響があるかもしれない。」
Tさんご夫妻は、正式にUさんの会社と契約をしました。
結果、「これから先、主に体力的に一戸建ては管理が面倒になるだろうし、階段のない家が好ましいから、マンションで生活したい」と考えていた68歳のSさんご夫妻が内見に訪れました。
Sさんご夫妻は、間取りもそうですが、緑の豊富なルーフバルコニーを見て、大変気に入りました。
「ルーフバルコニーに置いてあるものはこのままで売ってもらえませんか。費用はお支払いしますので。」
ということに!
マンションなので大規模修繕時には撤去が必要になる可能性がありますが、それを勘案してもこのままがいい、ということでした。
これはなかなかないことです。
Tさんご夫妻は、その申し出に応じることにしました。
Sさんご夫妻は、さらにTさんご夫妻にとって良い買い手であるといえることがありました。
「引渡しは1年以内にしてくれたらよい」という条件を提示してくれたのです。
このおかげで、Tさんご夫妻は賃貸住まいをすることなく、物件探しをすることができました。
Uさんの見立てと戦略で、売り手にも買い手にも満足な売却が可能になりました。
こんなふうに(というのも乱暴ですが)、いつ突然売却という出来事に直面するかわからないものです。