こんにちは、行政書士・ファイナンシャルプランナーの片野真理子です。
今日もよろしくお願いします。
最近、急に寒くなってきました。
風邪など引かないように、あったかくして過ごしたい今日この頃です。
前回、Aさんのお話を出しました。
Aさんは、土地付き一戸建てで、自身が単独で所有している不動産を売却しましたが、不動産売却の場面は多岐にわたります。
たとえば、
土地だけを売るのか、建物も一緒に売るのか?
その物件の所有権者か否か?
所有者なら、単独所有か、共有か?
自分が住んでいるのか、他の人が住んでいるのか?
自分が住みながら売却を並行するのか、先に自分は引越すのか?
家を貸している人からは賃料をとっているのか否か?
そもそも、家や宅地ばかりが不動産ではありません。
(「工場」とか「山林」とかも不動産、と言いたいのです。
民法上、不動産とは「土地及びその定着物」と定義されています。)
・・・と挙げ続けてもキリがないですし、冗長になってしまうのでこのへんにします。
このコラムのテーマは「初めての不動産売却」なので、想定している「売り手」は、普通の人、つまり、不動産を売ったり買ったり貸したりを生業としていない人です。
そんな人たちが不動産を売らなければならなくなったとき、不動産業者に依頼をすることが多いのではないでしょうか。
なにしろ、不動産業界は、高度に専門化された業界で、しかも取引価格は非常に高額です。
自分で良い買い手を見つけるのはそう簡単には行きません。
買い手が見つかったあとも、実際の契約、瑕疵担保についての取決め、登記を移転する手続などなど、漏れがあったらとんでもないことになる事項がてんこ盛りです。
ですから、そういった不動産取引に慣れていない売り手のニーズに応えるため、多くの不動産業者さんがいらっしゃいます。
ホームページも丁寧に作られていて、手続の流れがわかるようになっています。
きちんとした業者さんにお願いすれば、不動産売却のストレスは、大きく軽減されるでしょう。
しかし、なんでもそうですが、丸投げはよくありません。
買い手探しや煩雑な手続きについては仲介業者を頼りにするとしても、売り物(ここでは自宅の土地建物を一緒に売却するとしましょう)の状態は売り手自身が把握しておくことが、満足のいく結果を得るのに重要だといえます。
不動産の簡易査定を申し込んだ場合、たいてい登記簿に記載されている情報を記入すると、その地域の用途地域や建築制限等を勘案して、不動産業者が成約事例その他の情報から価格を判断してくれます。
しかし、登記簿や公図などからだけではわからない不動産の欠陥というものがあります。
隣地との境界が実ははっきりしていなかったり、古民家として売ろうとしたが建物の老朽化が予想よりひどかったり、実は建築制限を超えた違法建築だったり、といったことです。
そんなことが発覚すると、不動産の値が下がり、安く買い叩かれてしまう可能性があります。
無理してそのまま売るより、瑕疵(欠陥のことです)を修繕してから改めて売却したほうがかえって利益が出ることもありますし、建物ごと売ることにこだわらず、更地にしてから売るほうがペイするかもしれません。
時間的な問題などから、修繕や解体、リフォームやリノベーションをすることができない場合もあるかもしれません。
その場合でも、そういう視点を予め持ち、想定しておくことには意味があります。
普通の人ととはいえ、不動産売却のときには、「商品を売る側」になるわけです。
「良いものを合理的な範囲内で可能な限り高く」買ってもらうために、自分の商品をよく知っておくことは、とても大切なことだと思います。