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(画像=写真AC)

国税当局の豹変

実は、これまでは中古マンション売買の会社は売主に支払った消費税の全額について、税務署から返してもらっていました。つまり80万円全額が返ってきたのです。これは中古マンション売買の会社にとっては、あくまでも売却が目的であって、賃貸は本来の目的ではないという判断があったからです。またそれを裏付ける消費税基本通達11-2-12という有力な根拠条文も存在していました。さらに、消費税法の創設当時に国税当局によって作成された解説にも、そのように書かれていたのです。

しかし、ここへ来て、国税当局が豹変しました。この豹変っぷりが金のニュースたるゆえんです。

つまり中古マンション売買の会社は「最後の一人」になっているという側面と、なっていないという側面があるのだから、売主に支払った消費税も全部ではなく一部しか返さないという趣旨のことを国税当局は言い出したのです。

これによって発生する消費税の差額が、会社によっては数億円にも上ることになるようです。もはや、一部の中古マンション売買の会社の経営すら揺るがす事態になります。

納得がいかない一部の中古マンション売買の会社は国税当局を訴え、「このままでは廃業するしかない」と嘆く会社までいるようです。

実際に、東証一部上場企業の株式会社ムゲンエステートは、ペナルティを含めて約6億39百万円の追加納付を求められたようです。

主張を繰り返しても、どのみち課税は避けられない!?

中古マンション売買の会社と国税当局が激しく対立し、それぞれが自分達にとって都合の良い主張を繰り返しています。

中古マンション売買の会社側は全額返してもらうことが認められた「平成25年6月26日さいたま地裁判決」を取り上げます。しかし、国税当局側は返すのは一部で良いとした「平24年1月19日大阪国税不服審判所裁決」を示すなどして、互いに正当性を主張しています。

このように税法というのは様々な解釈があるため、現実には複数の正解があるというのが実態です。つまり裁判の結果が、裁判官や弁護士によって全く違うように、国税当局の担当官や税理士によって税額は全く異なることもあるということです。この事実は必ず知っておいた方がよいでしょう。

「法律を依頼者にとって最も有利になるように解釈し、その正しさを証明する」とはある著名な弁護士の仕事方針だそうですが、実は税法も同じで、絶対的な存在ではないのです。ある日、豹変するかもしれないと覚えておいてください。

さて、それではこの争いはいったいどうなっていくのでしょうか。

税法のプロとして、予想をしておきます。

最終的に裁判で国税当局が勝てばそのままそれが実務になり、同業の不動産会社は課税されるでしょう。


では、国税当局が負けた場合は?その時は、粛々と税制改正をするでしょう。


だから、どの道、本件については国税当局側の考えに沿った実務に変わっていくと考えられます。


税法は絶対ではありませんが、国税当局は絶対なのです。

今月のニュース金言

・争ってもいずれは課税される運命にある!中古マンション売買の会社は消費税は帰ってこないことを前提に経営計画をたてるべし!

 
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