不動産投資にとって減価償却費というものは避けて通れません。
この減価償却費を説明するにはまず「費用収益対応の原則」という考え方を理解する必要があります。
これは「売上(収益)が上がった時点で、経費など(費用)を計上する」という考え方です。
例えば、果物屋さんの場合、1年目にリンゴを仕入れ、2年目に販売したとします。
この時、1年目にリンゴの代金は支払っていますが、この時点では原価(費用)にはならず、商品(資産)となっています。
2年目にリンゴを販売して初めて、リンゴの仕入れ代金が原価(費用)となります。
「売上とそれをもたらした費用を一緒の時点で計上しましょう」ということですね。
これを、減価償却費に当てはめてみましょう。
この「費用収益対応の原則」を不動産投資に当てはめると、収益は「賃料収入」です。
そして、経費はたくさんあります。
例えば、水道光熱費や管理費、固定資産税、広告費などなど。
これら経費は、基本的に賃料が上がった年に計上されています。
これが「費用収益対応の原則」ですね。
しかし、この「賃料収入」をもたらすために必須なものがあります。
それが、「不動産(土地と建物)」です。
これがないと、賃料は発生しません。
そこで、不動産の購入金額を経費として計上します。
ただ、他の経費の支払は毎月、毎年発生しますが、不動産の購入の支払いは、購入時点でしか発生しません。
一方で、対応する「賃料収入」は何年にも渡って発生します。
そのため、不動産の購入金額を、毎年の「賃料収入」を発生したタイミングに応じて分割して費用(減価償却費)として計上していくというのが、減価償却費の考え方です。
ちなみに、費用(減価償却費)を計上するということは、一方で、資産(不動産)が減るということを意味します。
不動産のうち、建物は老朽化していくため価値が下がっていきますが、土地は基本的には値下がりはしないと考えます。
そのため、資産を経費化して、減価償却費を計上するのは「建物」だけになります。
「土地」は減価償却費が計上できませんので、ご留意ください。