こんにちは。弁護士の角地山です。
前回は、サブリース契約の賃料保証特約について書きました。
サブリース契約については、空室リスクの回避や家賃保証といったメリットが強調されがちですが、意外なところに落とし穴があるということには注意が必要ですね。
サブリース契約も、その本質は、大家さんとサブリース会社との間の賃貸借契約です。
ですので、通常、大家さんと入居者との間に起きるトラブルが、大家さんとサブリース会社との間で起きることもあります。
例えば、サブリース契約終了時の更新の問題があります。
大家さんが、サブリース契約の契約期間である10年や20年が満了した時点で、サブリース契約を更新せず、終了させたいと考えたとします。
しかし、サブリース契約の更新を拒絶するのに正当な事由がない限り、大家さんはサブリース契約の更新を拒絶することは出来ません。
これは、サブリース契約にも借地借家法の適用があるからです。
以前のコラムでも書きましたが、借地借家法では、賃貸期間が満了したとしても、契約が当然に終了するわけではありません。大家さんが賃貸期間の満了とともに契約を終了させるためには、①期間満了6ヵ月前までの更新拒絶通知と②正当事由があることが必要になります。
もし、大家さんが、①更新拒絶通知を出し忘れたり、通知を出したとしても②更新拒絶の理由に正当な事由が認められなかったりすると、契約は法律によって当然に更新されてしまいます。
最高裁の判例も、サブリース契約に借地借家法の適用があることを認めています。
したがって、大家さんがサブリース会社との契約を更新拒絶するためには、普通の建物賃貸借と同様に、
①賃貸期間満了の6ヵ月前までにサブリース会社に対し更新拒絶の通知を出し、
なおかつ、
②その更新拒絶に正当事由があることが必要
となります。
これだと、大家さんがサブリース契約の更新を拒絶するのは、かなり困難ということになります。このことは大半の大家さんは認識していないのではないでしょうか。近年、サブリース契約が注目されていますが、将来、更新の問題が大きな問題となるかもしれませんね。