【動画あり】頑張っていても出世しないのは自分のやりたい努力だけに目を向けているから
頑張っていても出世しないのは自分のやりたい努力だけに目を向けているから
売買仲介営業をやっていると、様々な問題にぶつかります。営業、キャリア、社内の人間関係…
誰にも聞けない悩みは売買仲介営業専門のコンサルタント・梶本幸治さんに聞いてみましょう。
今週は営業現場における「頑張っているのに、なぜか出世しない」と語る質問者に答えます。(リビンマガジンBiz編集部)
問
同期はとっくに出世しているのに、自分は平社員のまま…
口下手だとは思いますが、他の社員にも勤務態度では負けていなく、上司からも「マジメにやっている」と評価してもらっているのに、成績は上がりません。不動産業界に向いていないのでしょうか。転職を考えています。
答え
努力はしているのにうまくいかないのなら、やっていることは正しい努力かどうかを考えよう。お客様が求めているサービスではなく、自分がやりたいサービスを押し付けてしまうことがあります。自分自身の働き方を見つめなおしてみましょう。
転職するのは逃げではありません
質問者の方は29歳とのことですね。まさに、仕事に悩むお年頃だと思います。
同年代は役職がついて、部下を持っている人もいらっしゃるでしょうし、質問者の方のように出世せずに悩む人もいるでしょう。差が出てくる時期でしょう。
まあ、現在48歳の私からすれば、29歳なんて、まだまだ焦る年齢ではありません。とはいえ、私も60代、70代の先輩方には「50前は焦らなくていい」と言われますが、内心はすごく焦りますよね。
やっぱり年代、年代で悩みがありますよね。
それに転職を考えるなら、29歳は節目ではあります。
私は転職はよいと思います。向いていないと見切りをつけたのなら、違う業界にいくのもアリです。逃げだとは思いません。職業上のミスマッチは人生をつらくさせます。
「この業界で成功しないなら、どこいっても一緒だぞ!」などと言う人はいますが、全然、一緒ではありません。
業種を変えずに会社を変えて、成功する人もいます。その逆も、これまでに何度も見ています。
だから、今の状態で仕事を続けるのが辛くて、耐えられないなら、転職しましょう。とにかく、無理はしないでください。
そのサービスは善意の押し付けになっていないか
それを踏まえたうえで気になるのは、「勤務態度では負けていない」、「真面目な点を評価されている」という言葉です。
自分自身の出来ていない部分や至らぬ点よりも、自分の能力をうまく使えていない状況を憂いているように聞こえてきます。もしも、周囲や会社に「なんやねん、こいつら」のように思ってしまっているなら、健康的な考え方ではないですね。
どこか質問者の方は口八丁、手八丁でうまく立ち振る舞う営業像に抵抗があるようです。
実際に、そういう人はたくさんいます。そして、一握りではありますが、そんな中身の伴わないような調子のいい営業を続ける人もいます。
でも、ほとんど多くの真面目にコツコツやるタイプが生き残ります。だから、真面目さは大いに評価されることです。
私が大切だと思うのは、真面目のベクトルがどっちを向いているかという話だと思います。
以前も「真面目にやっているのに結果がでない」と悩まれている人がいました。「お客様の金消契約には必ず立ち会う」、「住宅ローン関連の書類取得もやっている」と言う方がおられました。その方は「売買契約が終わったらほとんどお客様に会いにいかないような不誠実な営業マンが出世していく。自分のように契約後もお客様に寄り添って、顧客第一主義でやっている人間の結果が出ない」と嘆かれていました。しまいには「会社がおかしいのか、業界がおかしいのか」となるわけです。
私は「はっきり言えば、お前がおかしい!」と言うのも何とか飲み込みました。冷たい、突き放すようですが、実際にはその方の考え方がおかしいのです。
なぜなら、顧客第一主義でない、不誠実な営業をしている同僚の方はたくさんの紹介案件を抱えていたからです。そして、顧客第一主義を自認する営業社員は紹介案件を全くもっていませんでした。結局、「お客様がしてほしいことではなく、営業社員がしたいことをしている」だけなんですね。善意の押し付けとは言い過ぎでしょうか。
やはり、お客様が何を求めているのかを的確に掴んでいかないと、真面目にやっているのに…ちゃんとやっているのに…という発想になるのでしょう。自分のやりたいことばかりやっていて、結果として遠回りしていいないかをもう一回考えてみて欲しいです。
自分の取り組む、営業活動がお客様のためになっているか、それとも自己満足なのか。「俺はこれだけやっている!」と自分が傷つかないための材料になっていないか、自問自答してみてはいかがでしょうか。
私も29歳くらいの頃は、営業成績が低迷していました。タイムマシンであの頃の自分に会えるなら、「お前は、どっちを向いて仕事をしてんねん」と言ってやりたいくらいです。