【問50】不動産仕入れ(媒介・買取)全般に関するまとめ問題|不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テスト
【問50】不動産仕入れ(媒介・買取)全般に関するまとめ問題|不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テスト
「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。よくわかる解説付きです。第50回目となる今回で連載は終了します。最後に問うのは、不動産仕入れの核心についてです。(リビンマガジンBiz編集部)
【問50】地域密着型の不動産売買仲介会社が実施する不動産仕入れ(媒介・買取)施策に関して、手法や考え方が正しいものは次の内どれか。
1. 仕入れ活動を行うエリアは広ければ広いほど良い。不動産仲介会社の中には一つの市町村のみに絞って仕入れ活動を実施している会社もあるが、このように自らエリアを狭め、仕入れチャンスを逃すようなやり方は避けるべきである。
2. 不動産仕入れは豊富な実務経験と高度な不動産専門知識が必要となる。その為、新人営業担当者は先ず、買付営業を1~2年ほど経験して実務経験を積み、それなりに不動産知識を習得した後でなければ、仕入れ営業を行うべきではない。
3. 売主様の大切な資産の売却を成功させる為には、売主様とのコミュニケーションが重要となる。その為、売主様の支持する政党の話や、信仰されている宗教の話、贔屓にされているプロスポーツチームの話を積極的に行う事が効果的である。
4. 不動産購入希望者様のご希望条件は千差万別、十人十色であり把握が難しい。しかし、売主様のご希望条件は全員「高く売りたい」という点においては共通であり、不動産仕入れ営業時は「高値売却」に関するご提案を中心に進めるべきである。
【正解肢】4
解説】
1.(誤)筆者(梶本)が不動産業界に入ったばかりの頃(平成8年)、業界の大先輩から次のように教わった。「不動産屋が儲からない時はエリアを狭めるべきで、苦し紛れにエリアを広げては駄目だ。隣の市町村にはその地域に強い業者もいるのだから、儲からないからと言ってエリアを広げても何も良い事はないよ」と。今から25年近くも前に聞いた言葉だか、今でもこの言葉は通用すると考えている。地域密着型の不動産仲介会社はエリア№1不動産店舗を目指すべきであり、広く薄く手を広げたところで、仕入れのチャンスが広がる事は無い。足元を固め、地域戦略を深堀していく事こそ仕入れ施策の王道と考える。
2.(誤)「不動産を売りたい」という問い合わせ自体が少なかった当時は、新人営業担当者に売り案件を回す余裕が無い不動産会社が多く、どうしても「新人は買付から」という風潮にあった。しかし、不動産一括査定サイトが普及した今日、お金を払えば問い合わせを獲得する事が出来、新人に売り案件を回す事も可能となった。又、仕入れに必要な経験や知識も、営業ロープレ実施やマニュアルの作成、専門知識の座学での取得で充分カバー出来ると考える。よって、買付営業を1~2年経験しなければ仕入れ営業を行うべきでないという合理的な根拠は見いだせない。
3.(誤)売主様の大切な資産の売却を成功させる為には、売主様とのコミュニケーションが重要となる事は間違いなく、本肢前段の記述は正しい。しかしそれは「不動産売却活動」の範疇の話題及び、それに付帯する話題でのコミュニケーション形成を目指すべきであり、本肢記述のような話題は相応しいとは思えない。そもそもビジネストークでは昔から「政治・宗教・スポーツ」の話はすべきでないとされている。 筆者は、今は無き大阪近鉄バファローズファン経由で、現在はオリックスバファローズのファンであるが、本来このような話題を自らが執筆するコラムで書く事も相応しくない。
4.(正)不動産仕入れは一見難しそうに感じるが、本肢記述のように「高く売りたい」という一点において全て売主様が同じ希望を持っておられるため、この1点を訴求した提案を行えば、買付営業よりも顧客の懐に入る事は難しくないと考える。これは肢2で「新人でも仕入れ得業が出来る」とした根拠の一つでもある。従って本肢の記述は正しく、本肢は本問の正解肢となる。
<株式会社レコ 梶本幸治からのご挨拶> 今回のコラムをもちまして2019年07月31日から連載させて頂いておりました「梶本式:売買仲介のための不動産仕入れ理論入門」は終了となります。
又、2017年6月7日スタートの「カジコンの不動産業界地獄耳」以来、4年4か月に渡り、毎週水曜日にご覧頂いておりました私のコラム自体も、本日で終了とさせて頂きます。
今まで多くの不動産業界・住宅業界の方から「梶本さんが書いているリビンマガジンBizのコラム、毎週楽しみにしているよ」とお声かけ頂ける事が励みとなり、ここまで続けることが出来ました。 本当に今まで、私のコラムをご覧下さいまして有り難うございました。
今後に関しましても何か面白い取り組みをしたいと、リビンマガジンBiz編集部の方々とお話していますので、近日中にお伝え出来ると思います。 では、次にお目にかかれる日を楽しみにしております。有り難うございました。
【参考記事】
・梶本式:売買仲介のための不動産仕入れ理論入門(2019年07月31日~2021年10月6日公開)
・元不動産営業マン梶本の、結果を残す営業術(2017年10月25日~2019年7月3日公開)
・カジコンの 不動産業界地獄耳(2017年6月7日~2017年10月4日公開)
※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。