【問49】不動産仕入れ時の売主応酬話法全般に関するまとめ問題|不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テスト
【問49】不動産仕入れ時の売主応酬話法全般に関するまとめ問題|不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テスト
「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。よくわかる解説付きです。第49回となる今回は売主との交渉、トークのやり取りについて、正しい知識を問います。(リビンマガジンBiz編集部)
【問49】不動産仕入れ営業における売主様(不動産所有者様)との折衝の場で、その応酬話法として手法や考え方が正しいものは次の内どれか。
1. 売主様(不動産所有者様)との折衝に際しては「売却理由の確認」に全力を注ぐべきであり、営業担当者側が饒舌に喋る事は厳に慎むべきである。
2. 売主様(不動産所有者様)はご所有不動産がいくらで売れるのかについて、強い関心を抱いておられる。従って、売主様(不動産所有者様)との折衝に際しては先ず、おおまかな査定価格を伝え、その査定価格を議論の中心に置きながら折衝を進めるよう心掛けたい。
3. 売主様(不動産所有者様)の売り出し希望価格が相場と比べて明らかに高い場合は、具体的な成約事例などを提示しつつ、高値の希望価格をその場で断念させる必要がある。高値で受託しても成約の見込みは低く、そのような高値で受託する事に何の意味も無い。
4. 売主様(不動産所有者様)との折衝は先ず「査定訪問」を行う。じっくりと物件の内容を把握した後、正式な査定書を作成し、日を改めて「査定報告」の場を設けて頂く事が望ましい。大切な財産の処分をお任せ頂くのであるから、時間をたっぷりかけて丁寧な提案を行うべきと考える。
【正解肢】1
【解説】 1.(正)売主様(不動産所有者様)の売却理由が把握出来ていないようでは、適切な販売計画の立案や売り出し価格の提案、媒介種別の説明を行う事は難しい。売却理由といっても「離婚」「相続」「不要物件処分」といった表層的な理由では無く、さらに深堀した理由のヒアリングが必要である。その為にも、営業担当者は話す事よりも聞く事に注力すべきである。 従って本肢の記述は正しく、本肢は本問の正解肢となる。 2.(誤)売主様(不動産所有者様)との折衝を価格の話から始めてしまうと、価格の話に終始してしまう恐れがある。従って、査定価格を議論の中心に置きながら折衝するのではなく、売主様の売却理由をヒアリングする事に注力すべきである。 3.(誤)売主様(不動産所有者様)の売却理由によっては、高値受託も問題ないと考える。確かに成約の見込みは低いが売主様が「それで良い」と仰っているのであれば、その方針にお付き合いしても不動産会社サイドに何らデメリットは無い。受託期間中に「やはり、売れる価格に値下げするよ」とお気持ちが変わる可能性もある為、高値受託を排除すべきでは無い。 4.(誤)不動産一括査定サイトが普及した今日、「査定訪問→査定報告」という従来の商談の進め方では他社の後塵を拝する事となりかねない。売主様(不動産所有者様)と初めてお目にかかったその日のうちに、媒介を受託するような気構えで商談に臨みたい。 【参考記事】 ・売却理由は資産処分です。そんな回答で満足する気ですか?(2019年9月11日公開) ・専任媒介って本当に一般媒介よりも売れやすいの?(2019年10月2日公開) ・受託率が上がる!?不動産査定報告時に知っておきたいトーク術(2017年11月8日公開) ・手塚治虫先生に師事した老漫画家のお家を査定したお話(2017年9月6日公開) ※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。