【問38】不動産買付営業と仕入れ営業の違いに関する問題
【問38】不動産買付営業と仕入れ営業の違いに関する問題|不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テスト
「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。よくわかる解説付きです。第38回は買付と仕入れ。二つの営業について基本的知識を問います。(リビンマガジンBiz編集部)
【問38】不動産買付営業(対購入希望者営業)と仕入れ営業(対不動産所有者営業)の特徴や基本的な考え方として、正しいものは次の内どれか。
1. 不動産買付営業に際して重要な事はお客様に親近感を抱いて頂く事である。一生に一回の買い物であるマイホーム取得に際しては、「話しやすく、フィーリングの合う営業担当者」が選ばれる傾向にある為、いつも笑顔を絶やさず楽しいお喋りを心掛けたい。
2. 不動産仕入れ営業に際して重要な事は信頼感を得る事である。大切な財産の処分をお任せ頂く為には、高い専門性と知的な提案力を身につけたいものである。又、売主様の売却理由を的確に把握する為にも、「話す」ではなく、「聞く」に重点を置くべきと考える。
3. 不動産買付営業に際しては、お客様のご要望に全てお応えするくらいの心構えが必要である。例えば「この物件って、どのくらいまでなら値段が下がるの?一度、売主さんに聞いてみてよ」と要望されれば、売主様に対しおおよその値引き幅を確認し、出来るだけ早々にお客様へ回答すべきである。
4. 不動産仕入れ営業に際しては、売主様への市況説明(成約事例に基づく相場の説明)が最も重要である。査定報告にあたっては先ず査定書をご覧頂き、市況説明に時間をかけるべきである。又、売主様の希望価格が相場よりも相当高く、早期の成約が見込めない場合は敢えて媒介を断る勇気を持つべきである。
【正解肢】2
【解説】
1.(誤)不動産買付営業に際して重要な事は「購入理由の確認」と「資金内容の確認」である。これらを確認する事により、紹介物件とお客様の希望条件のミスマッチを避ける事が可能となり、成約への近道となる。お客様が希望されるのは「購入理由を成就させる物件の紹介」であって、「話しやすく、フィーリングの合う営業担当者との出会い」ではない事を肝に銘じるべきである。
2.(正)本肢記述の通り。不動産仕入れ営業では「売却理由の確認」と「残債の確認」が重要となる。その為にも、売主様折衝時は「話す」では無く、「聞く(売却理由のインタビュー)」事に全力を傾けたい。よって本肢の記述は正しく、本肢は本問の正解肢となる。
3.(誤)価格の話は必ず買付証明を取得してからである。本肢記述のように口頭での価格確認の要望には決して応えてはならない。尚、お客様の要望が「購入条件」なのか、「たんなる希望」なのか、「その場の思いつき」なのかを見定める必要がある。
4.(誤)不動産仕入れ営業で価格の話をする際は先ず、売主様の売却希望価格を把握すべきである。そして、その希望価格と、売主様の売却理由、売却希望時期を総合的に勘案し、売却スケジュールのご提案を行う事が重要となる。市況説明も大切といえば大切だが、売却スケジュール全体から見れば些末な事である。 又、ひと昔前までは「売れないような価格で受託するくらいなら媒介を断れ!」と言われたものだが、不動産一括査定サイトが普及した今日、このような態度で営業に臨んでは受託出来ない。
【参考記事】 ・顧客の「条件」と「思いつき」を見極めよ!|トップ営業に学ぶ不動産営業術(2018年9月12日公開)
・「高値で媒介受託するくらいなら断れ」で損してる!?(2017年11月15日公開)
・営業目標数字の根拠は「売り」から立てよう(2018年2月28日公開)
・不動産買付営業の基本的な考え方と定義|【売り】から入る不動産買付営業(2019年3月27日公開)
・受託率が上がる!?不動産査定報告時に知っておきたいトーク術(2017年11月8日公開)
・客が買う家は、この俺が決める|トップ営業に学ぶ不動産営業術(2018年9月19日公開) ※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。