【問36】不動産業者訪問を行う理由に関する問題|不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テスト
【問36】不動産業者訪問を行う理由に関する問題
不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テスト
「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。よくわかる解説付きです。第35回は不動産の地域の業者訪問についての知識を問います。(リビンマガジンBiz編集部)
画像=Pixta
【問36】地域密着型不動産売買仲介会社の若手営業担当者が、商圏を同じくする不動産会社へ業者訪問を行う際の考え方として、誤っているものは次の内どれか。
(但し前提条件として、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、業者訪問の際は感染予防対策に万全を期す事とする)
1. 商圏を同じくする不動産会社はライバル関係にあり、手当たり次第に業者訪問を行っても有益な情報の入手は難しい。従って若手営業担当者が業者訪問を行う際は、自社と既に取引のある不動産業者を上司や先輩に教えて貰った上で、それらの業者を訪問する事が望ましい。
2. 不動産業界はまだまだ人と人の関係性で仕事が成り立つ為、人的情報網を構築する為にも業者訪問は欠かせない。この点は、メールやSNSが普及している今も変わらない。
3. 商圏内の成約情報を知る事は、正確な相場を把握する意味からも重要である。業者訪問時にはその会社が扱った物件の成約価格をヒアリングする事は勿論の事、詳細な成約情報を確認すべきである。
4. 業者訪問先としては大手不動産会社だけではなく、中小規模の不動産会社も訪問先に加えるべきである。地域の「重要な不動産情報」は大手よりも中小規模の会社が握っている事が多いからである。
【正解肢】1
【解説】
1.(誤)商圏を同じくする不動産会社はライバル関係になる事もあるが、情報を共有して一緒に仕事を行うビジネスパートナーにもなれる。このようなビジネスパートナー関係になれるか否かは「気が合うか否か」という要素も重要となる。その為、若手の売買仲介営業担当者は少しでも多くの不動産会社を業者訪問し、気の合う不動産会社を探すべきである。極端な事を言うと「ウサギのマークとハトのマークを見かけたら、何も考えずに取り敢えず飛び込んでみろ」くらいのスタンスでも良いと筆者(梶本)は考える。 従って、訪問先を絞り込むとする本肢の記述は誤りであり、本肢は本問の正解肢となる。
2.(正)本肢記述の「不動産業界はまだまだ人と人の関係性で仕事が成り立つ」という点は、不透明で前時代的だとの批判がある。しかし、不動産取引の多くが人と人との関係で成り立っている事は事実であり、このような人間関係はメールやSNSだけではなく、face to faceで構築させる。今後は不動産テックの発展等に伴って変化する可能性があるが、現時点においては本肢記述の通りである。
3.(正)成約情報に関しては成約価格をヒアリングのみならず、本肢記述の通り、いつ売れたのか?いくらで売れたのか?成約までにどれくらいの期間がかかったのか?買い主は誰なのか?といった詳細な情報も確認したい。
4.(正)本肢記述の通り。大手不動産会社よりもむしろ、中小規模の不動産会社に「お宝情報」が眠っているケースも多い。
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※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。