【問35】空地空家所有者DM【調査→送付→反響】に関する問題
【問35】空地空家所有者DM【調査→送付→反響】に関する問題|不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テスト
「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。よくわかる解説付きです。第35回はダイレクトメールについての考えを聞きます。(リビンマガジンBiz編集部)
画像=Pixta
【問35】不動産仕入れ施策の一環として、空き地空き家所有者へ売り求むダイレクトメールを実施する際、その空き地空き家調査、ダイレクトメール送付、反響(問い合わせ)獲得に関する事柄で誤っているものは次の内どれか。
1. 空き地空き家所有者を登記簿謄本で調べても、所有者が登記簿記載の住所に住んでいない場合は不達(あて所に尋ねあたりません)でDMが戻ってくることが多い。この不達率は概ね30%前後(筆者調べ)と高い事から調査の段階で、ある程度の不達が発生する事を見こして、多めに空き地空き家調査を行う必要がある。
2. 空き地空き家所有者への売り求むダイレクトメールは、既に他社から売りに出ている物件(レインズ登録物件)の所有者に対し送付しても差し支えない。あくまで「空き地空き家の所有者調査の結果」としてDM送付するのであって、所謂「抜き行為」としてDMを送付する訳ではないからである。
3. 反響数(問い合わせ数)には「売る気はありません」といった反響もカウントすべきである。なぜなら、DM送付で先ず気をつけるべきは開封率であり、このようにお断りの反響が多い事は「開封して頂けている証拠」だからである。開封率が高いにも関わらず、査定や売却相談に繋がらない場合は、送付エリアやDM文章を見直す事となる。
4. 反響率(問い合わせ率)は有効送付件数約8件で1件程度である(著者コンサル実績)。これだけ高い反響率を達成する為にはDM開封率の向上が必須条件であり、その為にはDMの封筒や宛名書きといった細かい点にまで注意を払う必要がある。
【正解肢】 2
【解説】 1.(正)空き地空き家所有者へのダイレクトメールはその性質上、多くの不達が発生する。この点を予め考慮して、空き地空き家調査の件数を増やす事が必要となる。
2.(誤)本肢記述の内容は正に抜き行為であると筆者(梶本)は考える。抜き行為の定義に関しては地域で若干異なるが「既に売りに出ている物件(レインズ登録物件)」の売主様に対し、売り求むDMを送る事はどの地域でも抜き行為に該当すると思われる。この場合、「レインズを見ていなかった」との言い訳は通用しない為、DM送付物件選別の際には充分に注意される事をお勧めする。よって本肢の記述は誤りであり、本肢は本問の正解肢となる。
3.(正)本肢記述の通り。
4.(正)本肢記述の通り。開封率向上の為には、DMの封筒や宛名書きといった細かい点にまで注意を払う必要がある。筆者は角形2号封筒(かくに)利用と、宛名の手書きを推奨している。
【参考記事】
・不動産売り主向けDMで、開封率を向上させる封筒とは?(2019年12月4日公開)
・空地空家調査件数と、DM有効送付件数の関係について(2020年8月26日公開)
・空地空家所有者DM【調査→送付→反響】の確率を公開します(2020年9月2日公開)
※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。