【問33】媒介受託後の売主訪問頻度に関する問題|不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テスト

「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。よくわかる解説付きです。第33回は、媒介を受託後の動き方です。(リビンマガジンBiz編集部)

画像=Pixta

【問33】媒介契約を締結し不動産売却を受託した後、売主様への訪問頻度や報告頻度に関する考え方として正しいものは次の内どれか。(但し前提条件として、新型コロナウィルス感染症拡大防止の観点から、売主様訪問の際は感染予防対策に万全を期す事とする)

1. 売主様への報告は専属専任媒介では1週間に1回以上、専任媒介では2週間に1回以上報告と定められている為、一般媒介契約で不動産売却を受託した売主様に対しては報告を行う必要は無い。

2. 売主様もお忙しい為、そう度々営業担当者の訪問を受ける事は出来ないと考える。又、たいした報告が無いにも関わらず訪問しては、却って売主様の不興を被る事になりかねない。従って、売主様へ訪問する場合は重要な報告事項がある場合に限定すべきである。

3. 販売状況報告書(業務の処理状況の報告書)には、物件への問い合わせ件数や業者からの物確件数、案内件数、ネットでのアクセス件数等の実績を記載し、営業担当者の意見等は極力記載しない方が望ましい。営業担当者の主観が入ると、売主様の判断を誤らせる恐れがある為である。

4. 媒介受託時に、「2週間に1回の面談」を約束して頂いておけば、販売期間が長期に渡り報告事項が無くなってきた場合も、その約束を口実に訪問がし易くなる。媒介受託後、早期の成約を目指すためには売主様とのコミュニケーションは必須であり、少なくとも二週間に1回はお目にかかるべきと考える。

【正解肢】 4

【解説】
1.(誤)宅地建物取引士の試験であれば、本肢の記述は「正」となるところである。しかし、ここで問うているのは「営業としての姿勢」の問題である。時々「一般媒介は報告義務が無いので、売主様には報告しない」というスタンスの営業担当者に出会うが、媒介をお預かりしている以上、筆者(梶本)は一般媒介の売主様にも報告すべきと考える。但し、5社相受け・6社相受けといった多数相受けのケースは除く。

2.(誤)報告すべき事が無ければ、訪問しにくいものである。しかし、「報告すべき事が無いという状況」にある事も報告すべきである。売主様への訪問が疎かになれば、「売り止め」や「他社への専任切り替え」「一般媒介へ変更」という状態にもなりかねない為、訪問頻度は高く設定したい。

3.(誤)販売状況報告書(業務の処理状況の報告書)を義務と捉えるか、売主様へ営業担当者の意見を申し述べるチャンスと捉えるかで、結果は大きく変わってくる。販売状況報告書(業務の処理状況の報告書)へは本肢記述のような実績値を踏まえた上で、営業担当者からの提案をしっかりと記載すべきである。

4.(正)媒介取得直後は売主様とお目にかかってお打ち合わせする事も多いが、次第にその頻度は下がりがちとなる。特に高値で受託した売主様へは、次回媒介更新時期まで訪問しない事も珍しくはない。このような状態を避ける為にも、媒介取得時に「2週間に1回の面談」を売主様と約束する事をお勧めする。よって本肢の記述は正しく、本問の正解肢となる。

【参考記事】
不動産売主訪問は、月に何回行えばよいのか?|月に2.5件の媒介を獲得する営業活動(2020年07月29日公開)

媒介受託時、週1回の売主訪問を約束|トップ営業に学ぶ不動産営業術(2018年08月08日公開)

媒介受託後の売主報告が必要な理由|不動産販売状況報告書の書き方(2018年07月11日公開)

※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。

 
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