【問21】不動産仕入れ重点エリアに配布するチラシに関する問題
「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。よくわかる解説付きです。第21回目の今回は、チラシ配布を深掘りしましょう。(リビンマガジンBiz編集部)
【問21】地域密着型の不動産売買仲介会社が、商圏内に仕入れ重点エリアを設定し、その重点エリア内へ売り求むチラシを配布する際、チラシ作成の方法や考え方として誤っているものは次の内どれか。
1. 子供の写真や動物の写真、綺麗な風景の写真などを大きく掲載し、「この不動産会社は感じが良いな。将来、不動産を売却する時があればこの会社に依頼してみようかな」と思って頂ける紙面作りを心掛けるべきである。買いの反響を獲得する為のチラシであれば「物件の魅力」を訴求すれば足りるが、イメージ優先の売り求むチラシでは「良い印象を持って頂く事」を最優先に考えたい。
2. 重点エリア地図をチラシに記載し、その中に取引実績等を記載する事で地域への密着度をアピールする。エリア地図も広域のものを作成するのではなく、配布するエリア毎(同一小学校区程度の広さ)の地図を作成し、「このエリアが得意である」というメッセージを視覚的にも伝えるべきである。
3. 売り求むのイメージデザインだけでなく、エリア内の売り物件情報を裏面に多数記載し、「この不動産会社は、近所で沢山の物件を取り扱っているのだな。私の自宅売却も一度相談してみようかな」と感じて頂けるよう工夫すべきである。
4. 直近一ヶ月の成約情報等を掲載した「成約御礼」チラシを毎月配布し、エリア内で毎月成約している事をアピールすべきである。又、オープンハウス等で成約した場合は、すぐに成約御礼チラシを配布し、販売力と販売スピードを強調したい。
【正解肢】1
【解説】
1.(誤)売り求むチラシに限らず、不動産の広告宣伝(チラシ・DM・ネット等)においては「即、問い合わせが頂ける」ように実施すべきと考える。この「即、問い合わせが頂ける」チラシを長期間実施した事により「将来、不動産を売却する時があればこの会社に依頼してみようかな」と良い印象を抱いて頂けることは結構だが、あくまで副次的な効果といえる。従って当初から、良い印象を持って頂く事を目標としたチラシ作成に言及している本肢の記述は誤りであり、本問の正解肢となる。
2.(正)チラシには重点エリアの町名も必ず記載すべきだが、本肢記述のように地図を記載する事も、地域への密着度をアピールする上で効果的だと考える。
3.(正)オモテ面、ウラ面ともに【売り求むチラシ(イメージチラシ)】にするのではなく、ウラ面にエリア内の売り物件情報を記載し、エリア内の町名を多数記載する事が出来れば、エリア内への浸透度を訴え掛ける事が出来る。この場合、「買いの反響(物件に対する反響)」を期待する必要は無いため、売れ残りの業物(先物)を掲載しても差し支えない。
4.(正)本肢記述の通り。重点エリア内で実施する売り求むチラシの中でも、成約御礼チラシは高い効果が期待できる為、必ず実施される事をお勧めする。
【参考記事】
・重点取り扱いエリアチラシ|不動産売り求むチラシ作成講座(2020年03月11日公開) ・総論|不動産売り求むチラシに必ず記載すべき事柄(2020年02月05日公開) ・売り求むチラシ作成法と配布エリアについて|具体的不動産営業活動(2018年10月24日公開)※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。