【問17】空き地空き家所有者DMの実施方法に関する問題
「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。よくわかる解説付きです。
第17回目となる今回は、空地空家所有者むけのダイレクトメールについて考えましょう。(リビンマガジンBiz編集部)
【問17】空地空家所有者へ売り求むダイレクトメールを送付するにあたり、その実施方法や考え方として誤っているものはどれか。
1. 既に他社から売りに出されており、レインズに登録されている空地空家の所有者へ売り求むダイレクトメールを送付する事は「抜き行為」に当たる恐れがある。その為、空き地空き家の所有者へダイレクトメールを送付する際は、レインズに登録されていないかしっかりとチェックする必要がある。
2. 空地空家を調査する際は、効率面を考慮し自動車を利用する事が望ましい。運転手と空地空家チェック係の二人一組となりエリアを自動車で巡回すれば、短時間で多数の空地空家を見つける事が可能である。
3. 空地空家の所有者を調査した結果、所有者の住所が物件所在地であるなど、「所有者が登記簿記載の住所に住んでいない」可能性が高い場合であっても、郵便物等の転送のための届出が為されていることを期待して念のためダイレクトメールを送付する。
4. 空地空家所有者へのお手紙は1回だけに留まらず、年賀状・暑中見舞い・不動産価格査定の案内・不動産売却相談会開催の案内等、お問い合わせが頂けるまで何度でも根気強く送付し続ける事が大切である。
【正解肢】2
【解説】
1.(正)レインズに登録されている空地や空家の所有者へ売り求むDMを送付する事は、不動産業界の一般的な認識として「抜き行為」と捉えられる可能性が高い。「レインズに登録されている事を知らなかった」との言い訳は通用しないと考えるべきであり、空地空家の所有者へダイレクトメールを送付する際は、レインズに登録されていないかしっかりとチェックする必要がある。
2.(誤)空地空家調査に自動車を用いると、見落としが多数発生する。空地空家をしっかり調査する為には、エリア内を歩いて調査される事をお勧めする。又、商圏内を歩き回ると、不思議と「担当エリアに対する愛着」が湧く。この愛着は地域密着型の売買仲介営業担当にとって、重要な感覚だと考える。よって本肢の記述は誤っており、本問の正解肢となる。
3.(正)本肢記述の通り。尚、弊社クライアントでの事例では、対調査件数に対するダイレクトメールの有効送付率は凡そ70%である。
4.(正)本肢記述の通り。空地空家調査を行った後、1回だけDMを送付し、その後は一度もその空地空家所有者リストを活用出来ていない不動産会社は多い。これはあまりに勿体ない話であり、本肢の記述にあるように、年賀状・暑中見舞い・不動産価格査定の案内・不動産売却相談会開催の案内等をその都度送付し、粘り強い追客を心掛けたい。
【参考記事】
・仕入れ手法として空地空家調査を行う時の、月間目標調査件数(2020年08月19日公開) ・空地空家調査件数と、DM有効送付件数の関係について(2020年08月26日公開) ・不動産売却相談会を開催する際の基本的な考え方(2020年06月10日公開)
※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。