【問12】不動産仕入れダイレクトメールの文章作成(冒頭部分)に関する問題|
売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。よくわかる解説付きです。第12回目となる今回はダイレクトメールの出だしの文章について考えましょう。あなたのダイレクトメールは、つかみはOKですか?(リビンマガジンBiz編集部)
【問12】不動産仕入れダイレクトメール送付に際し、その冒頭部分の文章作成に関する考え方として正しいものはどれか。
1. 不動産所有者へのダイレクトメールは登記簿謄本(登記事項証明書)の情報をもとに送付する為、ダイレクトメールの冒頭で「違法な手段で住所を知った訳では無い旨」を丁寧に説明し、不動産所有者様に安心を与えるべきである。
2. ダイレクトメール受け取った際、失礼だと感じる不動産所有者様は多いと思われる。所有者様に不快に思われてしまっては今後の商談に支障を来す恐れがある為、ダイレクトメール冒頭では「突然、ダイレクトメールをお送りする非礼をお許し下さい」と謝るべきである。
3. 不動産売却の依頼を頂く為には、政治・経済情勢の動向に敏感であることを示し、不動産所有者様の信頼を勝ち取る必要がある。従ってDM冒頭には昨今の政治・経済の動きを解析し、今後の不動産市場予測を掲載するべきである。
4. 不動産所有者様の関心事は所有不動産の高値売却である為、ご所有不動産を高値で売却する自信がある旨(根拠も含む)を冒頭に記載するべきである。
【正解肢】4
【解説】
1.(誤)不動産所有者様に対し、違法な手段で住所を知った訳では無いと伝える事は大切である。しかし、ダイレクトメールの文章冒頭に書くべき事では無いと考える。クレーム阻止の観点から見れば冒頭に書く事も理解出来るが、DMはあくまでも「問い合わせを獲得する」事に主眼を置くべきである。
2.(誤)ダイレクトメールは堂々と送るべきであり、クレームを恐れながらおっかなびっくり送るくらいなら、DM送付自体を諦めるべきである。送付者自身が冒頭で謝ってくるような文章を、誰が読みたいと思うか考えてみて頂きたい。尚、不動産所有者様にとって有益な内容(高値売却等)を提案するのであるから謝る必要は無い。又、ダイレクトメール成功のコツはいかに「普通のお手紙」として送るかにかかっており、「突然、ダイレクトメールをお送りする非礼をお許し下さい」等と、本文中に「ダイレクトメール」の文言を入れてはならない。
3.(誤)政治・経済情勢に関してはお客様と考え方が異なる可能性もあり、厳に慎むべきと考える。DMの内容はあくまで不動産のプロとしての「高値売却方法の提案」に留めておき「壮大な天下国家論」は記載しないよう心掛けたい。
4.(正)本肢記載の通り。不動産所有者様の関心事は所有不動産の高値売却である為、DM冒頭にはご所有不動産を高値で売却する自信がある旨を、根拠も含んで記載すべきである。よって本肢の記述は正しく本問の正解肢となる。
【参考記事】
・駄目な不動産DM解説|非礼をひたすら詫び続けるDM(2019年10月30日公開)・不動産仕入れDMの基本的な考え方と、その目標反響率(2019年10月23日公開)
・仕入れ手法として空地空家調査を行う時の、月間目標調査件数(2020年08月19日公開)
※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。