【問9】「机上査定で結構。訪問は不要」と言われた時の対応に関する問題|不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テスト

「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。よくわかる解説付きです。第9回目の今回は、「訪問は不要です。」と言われた時の対処法を考えましょう。(リビンマガジンBiz編集部)

画像=写真AC

【問】お客様から「不動産価格査定に関しては机上査定で結構。訪問は不要です」と言われた場合の返答として適切なものはどれか。

1. 高く売りたいとは希望されないのですか?私が高値売却の方法をお伝えして差し上げますよ。

2. 実際に室内を拝見した方が、正確な価格を算出出来ますよ。

3. 不動産の売却手続きは難しいので、お目にかかったうえでご説明しますね。

4. 承知致しました。では査定書をメールでお送りしますので、ご参考になさって下さい。

【正解肢】1

【解説】

1.(正)お客様が訪問査定によって享受出来るメリットは「地域№1の不動産営業担当者」である貴方から不動産高値売却の方法を教えて貰う事である。少なくとも営業自身はそう【思い込む】必要がある。つまり、机上査定を希望されるお客様は地域№1の不動産営業担当者に会えない為、所有不動産を高値で売却する機会を失ってしまう事になる【…と思いこむ】。

従って、「机上査定で結構。訪問は不要」とおっしゃるお客様に対しては、正々堂々「地域№1不動産営業で、売り主様所有の不動産を最も高く売る事の出来る私に、直接会う事が出来るチャンスを逃すのですか?私が高値売却の方法をお伝えして差し上げますよ。」と申し上げる事が上策と考える。

2.(誤)一般的に言って室内を拝見しようとしまいと、査定価格に大きな変化は生じない。従ってお客様が訪問査定で得られるメリットとは言えず、返答として適切ではない。

又、お客様が望んでおられる事は、「高く売れるにはどのような方法があり、それはいくらなのか?」という点であり、正確な価格を知りたいわけでは無い。

3.(誤)お客様自身が、まだ詳細な説明を聞きたいとは思っていない。従って、訪問査定のメリットだとは感じて頂けない。よってこの返答も適切とは言い難い。

4.(誤)本問で取り上げた4つの返答の内、本肢の返答が最悪である。確かにお客様のご意向に沿う必要もあるが、何でもかんでもお客様の言いなりでは営業担当者とは言えない。

又、本肢の返答では「メールでの査定書送付」を約束しているが、査定書は基本的(売却理由が離婚の場合などを除いて)に郵送すべきである。メールなどで送ってしまっては、将来的に再度お問い合わせ頂くことも叶わない。「捨て難いくらい立派な査定書」を郵送し、保存して貰えるよう努めるべきである。

【参考記事】

・「机上査定で結構。訪問は不要。」訪問査定で得られる、売り主様のメリットとは?(2019年10月16日公開) ・不動産査定訪問は何社目に訪問すると有利か?(2019年09月25日公開) ・不動産営業担当が売主訪問する際に、知っておくべき「心構え」を公開(2018年07月25日公開)

※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。

     

 
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