【問7】「専任媒介と一般媒介の違いは何か?」と尋ねられた時の対応に関する問題
不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テスト
「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。よくわかる解説付きです。第7回の今回は、お客様から寄せられる素朴な疑問についてです。よくある質問だからこそ、大きな違いがでる対応について学びましょう。(リビンマガジンBiz編集部)
【問7】不動産売却希望のお客様から「専任媒介と一般媒介の違いは何か?どちらの媒介を選んだ方が良いのか?」と尋ねられた時、専任媒介締結を選択頂く為の適切な説明として正しいものはどれか。
1. 専任媒介の場合と一般媒介の場合では使える広告宣伝費の金額が異なる事をご説明し、より多くの広告宣伝費が使える専任媒介契約の利点をご説明し、専任媒介契約を締結して頂けるように努める。
2. レインズの仕組みをご説明する事により、専任媒介であっても一般媒介であっても結果として大した差は無く、窓口が一本化されている専任媒介の方が面倒なやり取りが少ない事を強調し、専任媒介契約を締結して頂けるように努める。
3. 一般媒介契約では不動産会社間に競争が発生するため売主に有利となる場合があるが、これは「物件価格が相場と同等若しくは相場以下」のケースである事を説明する。その上で高値での成約を目指すなら専任媒介を選択すべきだと提案し、専任媒介契約を締結して頂けるように努める。
4. 「専任媒介なら私のやる気が増し、一般媒介ではやる気があまり出ません。一般媒介とは〝浮気するけど付き合って欲しい〟と告白してきた異性と交際するようなものですから」等、営業マン心理をご説明し専任媒介契約を締結して頂けるように努める。
【正解肢】3
【解説】
1.(誤)一見もっともらしい説明であるが、自社の広告宣伝費が少なくなるからと言って、複数社に依頼した場合よりも売主様が有利になる根拠に乏しい。又、このような説明を行う不動産会社の多くが、専任の場合の広宣費と一般の場合の広宣費の違いを具体的に提示する事は殆どなく、よってこのような説明が適切だとは言い難い。
2.(誤)レインズの適切な利用により売主様の機会損失を防ぐことは可能であり、本肢前半部の記述は正しい。しかし、専任媒介であっても一般媒介であっても結果として大した差がないと言ってしまうと、一般媒介を選択されてしまう可能性も高く、「窓口一本化」程度のメリットでは専任媒介締結を選択頂く事は難しいと考える。
3.(正)一般媒介が一見、ベターな選択のように感じる要因の一つは「不動産会社間での競争に期待する」からだと考えられる。しかし、不動産会社間で競争が発生するのは本肢記述の通り、「物件価格が相場と同等若しくは相場以下」のケースである。従って、この「高値成約ならば専任媒介、早期成約なら一般媒介」である事を説明し、専任媒介契約を選択頂けるよう提案する事をお勧めする。
4.(誤)25歳くらいまでの若手営業担当者であれば、このような「やる気アピール」も微笑ましく受け取って頂ける可能性はある(その場合でも、〝異性と交際云々〟のくだりは蛇足である)。しかし「一般だろうが専任だろうがやる気を出せよ!」と言われてしまえば終わりであり、とても専任媒介締結を選択頂く為の適切な提案とは呼べない。
【参考記事】
・専任媒介って本当に一般媒介よりも売れやすいの?(2019年10月02日公開) ・「高値で媒介受託するくらいなら断れ」で損してる!?(2017年11月15日) ・一般媒介で受託した後、最優先で行うべき売却活動とは!?(2017年11月22日)※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。