【問6】「他社の話も聞きたい」と言われた時の対応に関する問題

「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。よくわかる解説付きです。第6回の今回は、一度は言われたことがある「他社の話も聞きたい」と言われた時の対処方法について知りましょう。(リビンマガジンBiz編集部)


画像=写真AC

【問6】不動産一括査定反響の売主様にお目にかかって査定価格の提示を行い、売主様希望価格での販売開始を提案した後、売主様から「他社の話も聞きたい」と言われた時の対応方法として間違っているものはどれか。

<注意>実務上、売主様の売却理由によっては早期成約を提案すべき場合もあり、常に売主様希望価格で販売開始を提案出来るわけではない事をご認識下さい。

1. この場合、提案内容をご理解頂けていない事も考えられる。その為、売主様に「ご説明が足りなかったようですので、再度ご説明します」と申し上げ、「理解はしている」との返事があった場合は、「では、他社様に何を聞かれるのですか?」質問し、売主様のご希望や心配事の深部に迫るよう心掛ける。そして、その結果としての即媒介取得を目指す。

2. 「他社の話も聞きたい」との売主様のご意向を重視し、「では、他社様のお話を聞かれた後、またお電話ください」等と申し上げ退出する。少しでも「この不動産会社は強引だな」との印象を持たれないよう細心の注意を払う。

3. 先ず、次の不動産会社のアポイント日時をお聞きする。その上で他社面談終了直後の時間で再度、売主様とお目にかかれるようアポイントを頂戴する。他社の話を聞いた後、間髪を入れずに再び自社の提案も聞いて頂ける状態にしておく事が大切である。

4. 自社の提案を「たたき台」にされ、他社に専任媒介を取得される可能性があるならば、敢えて早々に一般媒介を提案し、他社に先駆けての媒介取得を目指す。不動産会社同士の競争が前提である不動産一括査定に於いては、戦術的な一般媒介提案も考慮すべきである。


【正解肢】2

【解説】

不動産一括査定サイト反響の対応としては、「競合他社に先駆けて売主訪問を行い、即決での媒介受託を目指す事」が基本的な考え方である。少しでも気を抜けば、営業の強い他社に負ける事を認識して営業に臨まなくてはならない。この点踏まえた上で、下記の通り解説する。

1.(正)「他社の話も聞きたい」とは逆に考えると「あなたの説明だけでは納得出来ない」という事である。それであれば再度ご説明・ご提案を行うべきであり、その説明・提案が理解頂けている場合は、何故に他社の話を聞きたいと思われるのかその理由をお聞きする事が必要となる。

2.(誤)「では、他社様のお話を聞かれた後、またお電話ください」などと言っていたのでは、他決する可能性が高い。強引な営業は慎むべきだが、単に売主様の顔色を窺い、阿る(おもねる)だけでは営業とは言えない。不動産プロとして自信を持ち、堂々と売主様に接する事が媒介取得に繋がると考える。従って、本肢の記述は誤り。

3.(正)本肢記載の通り、未だ商談途中のお客様宅を退出する時は、必ず次のアポイントを頂く事をお勧めする。

4.(正)競合が前提である不動産一括査定サイトでは、一般媒介の提案も排除すべきではない。一見、弱腰に映る提案内容ではあるが、all or nothingという態度では、費用対効果の面で不動産一括査定サイト利用のメリットを感じにくい。本肢記載の通り、不動産一括査定に於いては、戦術的な一般媒介提案も考慮すべきである。

【参考記事】

不動産査定訪問は何社目に訪問すると有利か?(2019年09月25日公開)

不動産営業担当が売主訪問する際に、知っておくべき「心構え」を公開(2018年07月25日公開)

※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。

 
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